arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

またヘルニアで入院することになった。その2

こちらへの続きです。意味はありません。書きたくなったので

特に意味はありません。備忘録に書きたくなったので

自分は8年前(2010年らしい)に同じヘルニアで手術をしています。今回は先生曰く、以前手術した部分の下が飛びて出ていますとのこと

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20180503/1525354697


ヘルニアで入院では何をすればいいのでしょうか?何かしらのリハビリとかある?いいえありません。実は私ヘルニアでは2度ほど入院しています。一度目に関しては、医者から


「あぁヘルニアですね、今日から入院してください」


「えっえーーーーー!!」


こんな風に入院を迫られます。そう言えば医者はこちらも見ずに言っていたなと・・・入院生活はもう何もすることがありません。単にベッドの上でごろりごろりと安静にしているだけです。日がな一日、ベッドの上でごろりごろりと、そして暇になると談話室の漫画本を引っ張り出してはもう何回目だろう・・・と思いながら読むのです。そんな感じ。


二回目の入院はもう手術が前提となっていて、入院後3日後には手術とあり、麻酔科にいったりと多少はやる事があります。が、基本は前述したとおり、ごろりごろりと安静にしているだけです。もうね、仕事場の人達に頭が上がらない!とかは無いのだけれど、世話してくれる看護師さんたちが来るたびに自分はこれで良いのだろうか?って自問自答するのですよ・・・なんか後ろめたい気分・・・


術後もまぁ3日間は地獄のように痛いですが、(特にカテーテルを取った後などは!!)痛みも引けば何もすることがなくまた、ごろりごろりと日がな一日と言うサイクルになります。なので病院で何かしら自分でやれる事を探しておく必要があります。例えば読書とかPCでプログラミング・・・自分はWebアプリ作ってました。


自分が入院した時の病室には高齢者の方しかいなかったのですが(整形自体、骨折患者でもなければほぼ高齢者しかいません)たまーに他の病室で見かけるまぁ若い方は音楽とか聴いていたようです。あと、面白いのは看護師さん、とても可愛い方多いのですが、まぁ若い方は殆ど口はきかないのですが、おっさんのちょっかいの多いこと多いこと・・・オッサンのダジャレに付き合うのも大変だなぁって・・・


ところで手術ですが、ヘルニアの手術は全身麻酔です。よく全身麻酔は手術室に入っていった事すら覚えていないという体験談があったりしますが自分は眠る瞬間は覚えています。いうなれば、景色が遠くに飛んでいく感じに意識を失います。映像の編集で画面を遠くに飛ばすようにフェイドアウトさせるのありますがあの感じです。


ヘルニアの手術なんて二時間程度なのですが、起きてくださーい!と言われて気づくと「?5分ぐらい?」という感覚なんですね。その瞬間、喉まで入っている人工呼吸器はずされて「( ゚∀゚)・∵. グハッ!!」となります。そこから長い長い一夜が始まるのですね。おむつされてチンコにはカテーテル入れられてもう動こうとすると痛いし傷口も火のように痛い、そして足はエコノミー症候群にならないようにモミモミする機械がブーブーうるさいわで、もうね、寝れねぇ・・・でした。


おかげで次の日は殆ど寝てました。カテーテルは2日目?3日目?には外すのですが、あの痛みはもう忘れる事ができません・・・看護師さんが「抜きますよ〜(にっこり)」と言った瞬間、下半身に


ぬぶぬぶlどすろいえjヵfねsdlkzjflsdjf


と頭の中に疑似音が鳴ったかと思うと言いもしれない激痛が走ります。あぁ・・・オレの竿に何があった?なにがあったんだ!


あと、ウンコ辛いって事でしょうか、、背中の筋肉を使うとイデェってなるので腹圧だけでウンコします。まぁそれならいいのですが今度は尻を拭くのが大変です。背中切ってるので、手を尻の下に持って行こうモノなら背中が引き延ばされて痛い痛い・・・今はウォシュレットと言うものがあるので一人でも手を頑張って尻の下に持っていければ拭けますが、昔はどうやっていたんだろう?大奥の正室のように人に拭いてもらっていたのだろうか?ってなってました。(たぶんオムツにウンコ垂れ流して看護師さんにお願いするなのだろうけどそれはそれで辛いものがある・・・)


とまぁそこまでが手術から大変なところまで、大体3日間です。ここまで過ぎればまた、暇な日々が始まり、ごろりごろりとまぁ生ごみのように生活します。そして天使が持ってくるエサにがっつきながら、「おう、ねぇちゃん、今日も元気だな!化粧がよく乗ってるよ!」とかオッサンは言うわけです。


ここまで書いて飽きたのでやめるね。

またヘルニアで入院する事になった・・・

特に意味はありません。備忘録に書きたくなったので

自分は8年前(2010年らしい)に同じヘルニアで手術をしています。今回は先生曰く、以前手術した部分の下が飛びて出ていますとのこと。

前回のヘルニアで、どんな症状だったかと言うと、まさに腰が痛いという症状。これだけじゃ分からないので補足すると、単に腰が痛いという訳ではなく、座っている状態から立つ瞬間など、体を静から動に移す瞬間にヤツはやって来るのです。そう痛みが・・・この痛みは大体数分続きますが、動けないです。そういった痛みですね。


今回の痛みはと言うと、実は腰自体には痛みはありません。なにがあるかと言うと、尾てい骨が痛い、尻から足にかけてが痛い、左足はしびれの靴下をはいているような感覚、右足に至っては感覚が重い。こんな感じです。

尾てい骨が痛いので排便時に特に難儀します。ウ〇コが痛いのです。。。orz...

あと、感覚麻痺が来てます。10分ほど立っているともう膝が突然カックンしたりします。また10分ほど歩いていると足に痛みは無いのですが足が上がらないのです。歩くという動作を壁つたいに意識的に行うようになります。これが結構辛いですね。歩く動作を意識的にやっているとどんな気持ちになるかって言うとね、

「あれ?右足上げるってどうすればいいの?歩くってどういう事?」

ってなってきます



朝はまだいいです。。仕事が終わり、仕事場から仙台駅に行くまでが本当に地獄ですね。立っているだけで下半身激痛(とくに尻から太ももにかけて)、でも歩いて仙台駅に行かねばならぬ!壁つたいに激痛に耐え歩いていくと仙台駅に着く。はぁ〜、一休みとちょいと休んでから地下鉄まで歩くが先に書いたように足に力が入らなくなる。


足に力が入らなくなるのも辛いですが、足首がもう感覚がなくなるのですよ。そうすると立つという動作だけで精いっぱいになります。


ほんとね、杖があればと思いました。


足が上がらないとどうなるか?って言うとね、足を意識的に上げるようにする、そうすると足のプルプルと同時に手も震えるのですよ!これがびっくり!


仙台駅から乗っても席に座れる保証はないので、一旦五橋まで行き、そこから乗るという日々でした。


でね、座るとまた問題が発生するのですね、座るときも尻から太ももにかけて激痛が走るので座る動作で1〜2分かかります。姿勢が安定し、最寄駅に到着、でもすぐには立てません。どうせ人が一杯いて改札口は混雑。5分ぐらいしてから立ち上がるがまた痛みが発生・・・また痛みのウォーキン!


こんな感じ。GWに入ってソッコーで杖買いました。仕事あるうち買っとけばよかった・・・


先生とは神経ブロックしながら静養だけど経過を見て手術・・・またあの手術を・・・嫌だ・・・

「男が痴漢になる理由」を読んだ、大方の予想通り、依存症である

男が痴漢になる理由

男が痴漢になる理由

ツイッターのタイムラインで話題になっていたので読んでみた。

痴漢になる男と言うと、色々と「性欲は強いけれど、もてない男」みたいなキモイ人、どうしようもなくなって犯行に及ぶ的なイメージあるけど本書によると、痴漢になる男と言うのは、至極普通な人と言う事です。4年生大学を卒業して普通に働いている、普通に結婚して子供もいる、と言う人が多い、そういう人が実情に沿った痴漢犯罪者像だそうです。


ストレスに悩まされ続け、ふとしたきっかけで痴漢と言う行為にハマる。本書によると、偶然手が女性の尻に当たった、から始まり、何も起きなかったために、次に故意に押し付けてみた、と言った風にだんだんエスカレートしていく。そうやって痴漢のスリルを味わう常習犯になるとのこと。人の痴漢行為を目撃し、自分もやってみて常習犯になったと言うパターンもあるそうです。


痴漢行為そのものが性的な興奮で行っているわけではない、と言うのも興味深かった。そういった人たちがなぜ痴漢をし続けるのかと言うと、「ストレス」に対するはけ口、簡単に言うと、弱者に対するいじめみたいなもん。普通ストレスにさらされると人はお酒を飲んで憂さを晴らすや読書など色々とはけ口を持っているけど、それが痴漢そのものがはけ口になると言う事。捕まるかもしれないというスリルはものすごく強烈なインセンティブになるのだろう。


本書では痴漢の治療はストレス対処法(コーピング)を見つける事が書いてあったが、痴漢犯罪者にとって日ごろの痴漢はストレス対処法そのものであるって事。これだけ自分は頑張っているのに!これだけ我慢しているのに!がこれだけ頑張っているのだから痴漢しても許される、と言う認知のゆがみに陥る。痴漢犯罪の人達にとって痴漢被害者は、実は喜んでいるとも認識しているともいう。


例えば被害者を物色する際は毎日同じ時間、同じ車両に乗る(誰にも言いそうにない)女性を選ぶという。この、同じ時間、同じ車両に乗っているという事実自体が痴漢犯罪者の認知では「痴漢されたがっている(から同じ車両に乗っている)」という理屈になるという事(だから俺は痴漢をやってあげるんだ)。これは読んでいて面白いなと感じた。自分の反社会的な行動を自己正当化するために認知を曲げるという事だろうか?普通ならそんな風には考えないですよね?


普通は、と書いたけど、先にあるように痴漢常習者になってしまうきっかけなんて誰でも持っている。ストレスなんてみんなさらされているし、電車で隣に女性がいてたまたま手が当たったなんてあるかもしれない。もしかしたら明日の痴漢は僕かもしれないよね。タマタマ自分は電車の中は読書をするってコーピングを持っているからなっていないだけかもしれない。


著者は痴漢犯罪者に対する治療も行っていますが、その中で、痴漢を辞めて得たものは、家族や身近な人の信頼関係や、たくさんの時間、などポジティブなものが帰って来るが、逆に失ったものという問いにはなんて答えるでしょうか?本書を読んでいるとうすうす感じてきますが「生きがい」だそうです。痴漢と言う行為は既に加害者にとっては日々スリルを得られ、ストレスを解消できるものになっているのですね。


本書では痴漢犯罪者の治療についてもいくつか書いており、読んでれば感じるのは依存症を直す事そのものだなぁと。完治はしないが行動しない事を続ける事はできる。そのためには対象者に別のストレス対処法(コーピング)をしてもらうようにする。被害者には大変気の毒だが、この人達が再犯し、多大な行政の費用をかけるよりは一刻も早く、治療により治ってもらう、普通の生活に戻ってもらった方がいいのではないか?と感じた。

ずん子、きりたん、タコ姉、マジック定規作成

今回はこちらの続きです。

懐かしいですね。こういったのはスーパーカー定規として子供の頃売ってましたね。検索すると結構出てきます。

スーパーカー定規の画像検索結果

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E5%AE%9A%E8%A6%8F&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwivraeZnN_ZAhXCHpQKHVMSCcYQ_AUICigB&biw=1708&bih=820#imgrc=xWJ1KCc9QZbX4M:
子どもの頃なんかのオマケでもらったような気がします。上下で鉛筆でなぞるとあら不思議、車が浮かび上がるのですよね。これやってみますかね。と言う事でデータ。まず全体像としてはこんな感じ

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20180310/1520660591


こういったのは「マジック定規」と言う商品みたいです。自分は子どもの頃、スーパーカーのマジック定規はよく買ったりした覚えがありますが検索すると結構なキャラクターもののマジック定規が売っていたのですね・・・知りませんでした。しかしスーパーカーと言うのも非常に懐かしい表現ですね、80年代前後でしょうか、自分が小学校に上がるあたりだと思います。今だとスポーティカーでしょうか・・・

さて今回は、前回に作ったきりたんの定規のアップデートと、新しくずん子とタコ姉の絵も追加したいと思います。今回気を付けたのは、切りの線が長いとアクリル板が弱くなり折れそうになってしまうため、あまりにも長い線は2つに分割するという事でしょうか。





では実際に切ったものをこちらに

こちらは時間があまって切っているもの

ずん子さんはなんか見えづらいですね・・・よく見ると、鉛筆で〇が描いてあったりしますが、これは切った後に試し描きとしてボールペンで描いたときに難儀があった場所です。笑顔きりたんは右側が部材が足りなくなって中央のガイド溝が見えません。これは痛いですね・・・


こちらがシャープペンで描いた場合。先ほどボールペンで描いたときに難儀があった場所は難なく描く事ができました。でもあそこ近辺が改善点でしょうか。

また、前回ご紹介したマジック定規にヨッシーのマジック定規がありましたが、これのように、フレームの中にキャラクターがいるような絵にすると、定規左右のガイドとなる曲線がいらなくなるので良いなと思いました。描いたあとあの線が微妙に嫌なんですよね・・そのためには絵が描けるようにならねばいけないのですが・・・



試作品ですが原価以下で販売しております。購入していただけると今後の作品作成の原資になります。よろしくお願いします。レーザーカッターレンタルと部材でお父さんの財布はカラッカラなのです・・・orz...
また、自分の作品をマジック定規で作ってみたいという方も歓迎します。

BOOTH arcanum_jpの商品一覧

https://arcanumjp.booth.pm/

きりたん定規作成

さて、ツイッター上でこういうの見かけました。

グーグルで検索しているとこんなのも見かけました。

懐かしいですね。こういったのはスーパーカー定規として子供の頃売ってましたね。検索すると結構出てきます。

スーパーカー定規の画像検索結果

https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E5%AE%9A%E8%A6%8F&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwivraeZnN_ZAhXCHpQKHVMSCcYQ_AUICigB&biw=1708&bih=820#imgrc=xWJ1KCc9QZbX4M:

子どもの頃なんかのオマケでもらったような気がします。上下で鉛筆でなぞるとあら不思議、車が浮かび上がるのですよね。これやってみますかね。と言う事でデータ。まず全体像としてはこんな感じ



これを上下に分割して切ってきます。こんな感じです。

さてこれで実際に描いてみます。カキカキ・・・

これがこうなります(関係上2枚描いてしまいました)


次へ向けて


作ってみて、レーザーカッターはそれこそ0.1mmの切りもできますが、そこにペンが刺せるかというと別問題なわけです。大体1mmが限界ではと思いつつ作ってみました案の定、この辺は使ってみて溝はあれど鉛筆(かなり細く削ったものやシャープペン)が刺さらない(なぞって描けない)のです。この辺は初めに紹介したツイートのように、線の端は丸くする必要があるのかなと。

あと、今回は1mmのアクリルを使ったのですが、切りの線のために板が弱くなっていますね。当たり前だけど。塩ビで作りたいんだけど、施設のレーザーはプラ系はアクリルオンリーなので、これはどうしようもないなぁ・・・それか2mmのアクリル使いますかな?


本番は次週なのでもうちょっとデータを変更して再度出力してみます。(つづく)

東北三姉妹、ずん子、きりたん、タコ姉のしおりの制作

どうも、これの続きです。実はレーザーカッターを借りると1時間単位になってしまうので、2時間とか借りると結構余ってしまう事があります。その時間を利用してこんなものを作ってみました。

先日急遽作ったこのクリスマスプレゼントですが、カミさん的にも子ども的にもあまり芳しくなかったようで意気消沈している私、あるかなむです。しかしながらこれをみてムッスメのお友達が「私も欲しい!」と言ってくれたようで、捨てる神あれば拾う神ありです。早速検討してみましょう。

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20180127/1517061098
ずん子しおり

本をよく読むのでしおりです。切り絵にしてみました。材料自身は100円ショップなので気楽に切れます。アクリルの高さとはけた違いだ・・・(でも施設利用料が高いので・・・)

これをちょっと沢山作ってみました。


これは切った時点で失敗してしまったものです。データの作りがまだまだ甘いですね。


これを台紙に接着して終わりです。なんだ簡単じゃねぇか!(怒)

ん?


んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!タコ姉!!


これをノリで接着していきますが結構これが曲者ですね。切り絵の裏側にスプレーノリをシュっと吹きかけて台紙を貼り付けて完成・・・一見簡単ですが、間違うとスプレーした時に床部分に付いたノリが台紙に付いてしまってベタベタします。これもっと気軽に作るには冶具が必要ですね。こういうの。


これもレーザーカッターで作るしかないのですが・・・どうしよう。

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んだ。絶望の中の希望

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち


東ロボくんの愛称で有名なAIプロジェクトの新井紀子先生の本。本書が出る前にもさんざ、東ロボくんの記事でおみかけして面白いなと思っていたが、本が出たので早速アマゾンでポチって読んだ。


1章から2章は東ロボくんのテスト戦略を含めた現在実用化されているAI技術と社会での実例。三章は全国で行った基礎読解力テストの内容から浮かび上がった問題、つまり本書のタイトルにある教科書が読めてないということ。そして四章がAIが仕事を代替していく(奪うと言ってもいい)中で起きるであろう社会変化。その中で教科書を読めない人材はどのようになっていくか?また、生き残るためには。


AIによる東大試験突破については、目的が東大合格ではなく、AIには何が出来て何が出来ないか?を洗い出すこと。その過程のなかで、実は中高生が文章が読めてないという現実が浮かび上がってきたということ。AIによる受験については実は本書で指摘されるようにMARCHレベルであれば合格ラインには来ているがAIは試験の文章を読んで理解し答えを出していたか?と言われるとそうじゃなく、あらかじめ覚えさせたキーワードと統計による回答である。ある程度の偏差値まではこのキーワードと統計による方法でできるが、それ以上は超えられない壁がある。それが本書でたびたび言われる「読解力」であるというもの。


AIは意味を理解しない。本書でAIに対する評価として何度か出てくるがこの本のキーワードであると感じた。AIは意味を理解する事が出来ない。そのため文章を読んで意味を理解し、行動するという作業は今のところ人間にしか出来ない。しかしながら先に指摘されたように中高生は文章が読めていないと言うのが判明した。


中高生が読めていないという事は、今まで同じような教育を受けてきた今の我々でさえ怪しくなってくると言うもの。AIが社会に浸透していくとき、キーワードと統計でできるような仕事はAIに代替されていくが、それは今の労働者もが対象となるわけで、日本人全体の危機ともいえる。


そのときAIと同じような質の労働者は「同じような労働者たちの中で、AIに代替されるより安い賃金の仕事を求めるか」「AIが出来ない仕事に就くか」でしかない。その時に生きるのが「読解力」であるというもの。なにしろ何をするにしても文章を読んで理解し、行動するというのが求められるのだから。


AIは社会から仕事を奪うが、その時人間はより創造的な仕事をする、と言う人もいるけど、自分はこれには懐疑的だった。工場にロボットが導入されたときに工場に勤めていた人が解雇されていった時と同じようにあくまでAIは経営者などが経済活動をする上で助けになる、生産性をあげる道具でしかないよねって感じていて、その時に恩恵を受けられるのは先の経営者であるし、その人達が生産性が上がった分、創造的な仕事をするに過ぎない。その時に仕事を奪われた人は何をするのだろうって。今まで社長の秘書をやって来た人がAIに仕事を奪われたあと突然創造的な仕事をしはじめるのかって?人が出来る事は過去にしてきた事の延長に過ぎないから突然違う事は出来ないよね。身に付いていない行動は出来ない。


読んでいて感じたのは、よく日本の労働者は優秀だが経営者が無能と言われるように(ソースなしだが検索すれば見つかるよね)現場の教師はよくやっているのだろう。著書でもRSTを受けた教師が自前でRSTについて勉強し、学力を上げた所も書いてある。これなどは昔、日本の工場で行われていたQC活動と同じだろう。経営者側ではなく労働者による自発的な活動が成果を上げたと言う事。


その中で子どもたちが教科書が読めないという現実だがこれは、著者がAIの説明の中でAIは設計者のフレームを超えていくことは出来ない旨言っているように、今の日本の教育が教科書が読めなくてもやっていけるようなフレームだという事でしょう。その中で動く子どもたちは問題(学習)に対しフレームに最適化された解を探し行動する。本書で言えば文章の意味も分からずともテストの点が上がる行動が評価され、強化される。


日本の政策などが世界中で行われている研究などから科学的に決められていない、世界中で失敗したと言われる政策をわざわざ行おうとしているという著者の嘆きを最近読んだ本でも見てきたが、本書でも中央教育審議会の今までの長年の無策を批判するように教育関連だけに言えば長期で行う方針を決められる人材がいない(多分誰も決定が出来ない、権限がない)また、戦略として政策が科学的に決められていないというのが問題の本質なのだろう。子どもらは何も悪くはない。当たり前だがその政策が続いてきたからそのフレームを超える政策を考えられる人材も排出できない。「失敗の本質」もそうだったが、雰囲気による支配と失敗に対する反省と対策が出来ないって戦後いつまで続くんだろうねって絶望感すら覚える


この本を読んでいて以前に読んだ「わかったつもり?読解力がつかない本当の原因? (光文社新書)」を何度も思い出した。この本では文章を理解すると言うことは文脈に従って自身の持つ知識(スキーマ)を発動しながら理解するという感覚になるという事。子どもたちは文脈を理解しつつどこかで誤読をしていると言うことだろうか。それとも文脈から理解するための知識が足り無いと言うことだろうかと。でもこれも本書に従えば、文書を理解するための文脈を知らずともやっていけるという現実があるのだろう。


読んでいてAIと言う今流行のキーワードで数学者の視点から現実的な路線が描かれていて、なおかつ、文章はとても引き込まれるし面白く読む事ができたが、同時に著者の考える最悪のシナリオには怖くすらなった。自分の子供だけには読解力をつけさせたいがどうしたらいいだろう?そう思いながら読んだ。



わかったつもり?読解力がつかない本当の原因? (光文社新書)

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「学力」の経済学

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マシュマロ・テスト:成功する子・しない子

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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