arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

プログラマから見たEVMによる利点 その2 遅れを取り戻すシミュレーション

遅れを取り戻すには何日かかるか

 いつものように先輩に衝撃的な事実を聞いたのでココにメモ。遅れに対し、とある対策をとった場合に、「いつまで取り戻せるか!」をシミュレーションすることができます。

  • 全体でn個のプログラムをAさんが作る
  • 計画値(PV)では1日1個作るはず
  • 残業はちらほらやっているのですが進捗報告(25日目)でマネージャが「こら!何やっとんのや!」


 この場合、EVMの表はこんな感じになっていると思います。Aさんはマネージャから「対策を打った場合、この遅れはいつ取り戻せる?」と聞かれたときにどう答えればいいのでしょうか?WBSで管理している場合、「やったこと」「遅れている期間」しか分かりませんので、先日書いたように遅れている期間をできるような期日で割り振るぐらい+勘だと思います。



 対策としては、色々あると思いますが、ここでは「残業してできるまで帰るなぐらいの気持ちメソッド」をマネージャに提案したとします。すると線上ではACがズズンと上がって行くように見えるようになりますが、その場合、遅れを取り戻すのはどの時点でしょうか?この場合、今までのパフォーマンスからACを上げた場合のEVの進捗線を計算で予想することができます。この場合の計算もPV,EV,ACが大活躍ですが、そうすると理論上では次のような図になると思います。



 ググっとEVが上がってPVを通り越してしまう。こうして今までのコストベースで計算で線を作ることによって、ACをある数値で上げた場合のEVの線を予想することができます。しかもACの上げ幅を変えることによって遅れを取り戻す期間と、できる作業量の見合いをシミュレーションすることができる。こんなのはExcelなんかでやりゃすぐですよね。


 しかし、ここで注意しなくてはならないのは、「遅れを取り戻す」という時点です。一見、PVとEVが交わる時点で「遅れが取り戻せた」と見えるようですが、実はここではなく、実際はn日遅れ分PVよりEVが上がった時点を指します。PVとEVが交わる時点は、遅れを無視した他の計画値が完了する時点で、実際にはその後に遅れを取り戻す期間があります。


 上記のケースで全体で100本、25日時点で20本完成(5本遅れ)、75日目で遅れを取り戻す場合はどうでしょうか?

期間 25日目 50日目 75日目 100日目
計画 25本 50本 75本 100本
対策無し 20本 40本 60本 80本
対策あり 20本 45本 75本 ...

 このように、25日目時点で5本遅れが発覚!対策を打って50日時点ではなんとか遅れ分を除いたプログラムを消化(実際には遅れによって遅れたプログラム5本を残して)予定の75日時点で遅れを解消となります。また、遅れを取り戻せる時点の予想は「n日遅れのPVとの差分(PV-EV)分PVよりEVが上がった時点」ですが、実際にはEVはPVより上がることはありませんので、こんな感じになります。



 実際に別の例でExcelで作ってみました。「はてな」ではファイルの添付機能がないので悔しいですが、画像で我慢してください。もし計算式がほしい方がいらっしゃいましたら、コメントでお願いします。どっかにアップするかもしれません。想定としては以下のとおりです。

  • 15日間にAさんは1日1本を作る予定
  • 各作業は見積もり時は同じ作業量と思われた。
  • 4日まではちょっと残業はしたが、とりあえず進捗は100%
  • Aさんは表の水色の部分(手入力の部分)を帰るときに入力している。
  • 5日目の作業が予想以上に大きくて、20%ぐらいしか進まなかった。
  • 6日目の朝、マネージャから「どうする?」とすごまれて、震え上がったAさんはとりあえず「残業してできるまで帰るなぐらいの気持ちメソッド」を提案した。
  • 実は、見積もりが甘かったって事は、Aさんにも内緒(Aさんの責任ではないよね)
  • その後、今までの残業時間に5.5時間程度上ずみする格好でスタート

 その計画の場合、いつまで終わるかというと、今までの今までの実績、これからのACの予定でいつで遅れを取り戻せるかを予想できます。表ではEVとPVの差が逆転したところで青くしています。Aさんは、5日目までのパフォーマンスが0.75なので、いくら残業で5.5時間(0,7人日)つんだとしても、1日に14.6時間になりますが、実際1日にできる量は1.36です。


 ※Aさんのパフォーマンスが0.75というのは、Aさんが1人前の仕事ができないということを表しているわけではありません。見積もりが間違っているのかもしれません。あしからず


ちっちぇー!見えねぇー!!ま、こんなブログ誰も見てないからいいか・・・

 グラフで見るとこのとおり。高々0.8人日の遅れですが、Aさんのパフォーマンスがパフォーマンスなので殆ど1日に2日分働いたとしても結構長い時間がかかってしまいますね。正直、遅れを取り戻すまではいいですが、その後が心配です。


 これは、「とある時点からの予想」であり実際にはもっと考えるべきことはありますが、遅れに対し対策を打った場合に、EVMの各項目から、「いつ遅れを取り戻せるか」を予想することができます。なので自分の仕事の先を予測するためにも、このEVMの考え方は重要なんじゃないかなと思います。