arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術」を読んだ


 東京に出張なので、新幹線の中で何か読む本がないかと物色中に目に飛び込んできたので購入。先日の勉強会でもチーム力って大事だよ!って話があってずっとチームビルディングに興味があったんだけど、本の表紙にきれいなおねぇさんが笑っていて、鼻の下が長くなって気づいたらレジにいたってのは内緒の話。

本の感想

 感想はというと正直、自分がこれからやろうとしていたことを言われた!って感じがして小気味よく読むことができました。どちらかと言うと、上は経営者から下はいわゆる中間管理職までの人が対象と思われますが、チームビルディングに興味のある方は、本の分量も200ページ強ぐらいで、斜め読みしなくても2時間程度で読めるぐらいの分量ですので気軽に読んでみることをお勧めします。何かしら「気づき」があるはずです。


 巻末の労働時間と労働生産性のグラフには驚いたが、日本全体での仕事の質が変わってきたことにより、今までの仕事の仕方からの変化を求められているんだなぁということ。。僕たちはその過渡期にいるんだなぁ。しかし、著者はだいぶ頭の良い方なんだなぁと感じました。大学を卒業したての、新人さんが仕事を片付けるとはいえココまで考えられるのはすごいなぁ、現状分析と、そこからどうすればいいのかといった行動もよくできている。基本的に話を聞いて、相手から答えを引き出しているだけなんですけどね。難しいんだよね。それが著者の言う、「管理業」から「監督業」へ、ということだろうか。


 次以降に任されるプロジェクトでは、先日まで覚えたEVMやパフォーマンスマネジメント(触りを勉強しただけなんだけどね)を実践したいと思っていたけどこの本のやり方も参考にしたいと感じた。


 多分、プロジェクトを始める時にこういった仕組みをメンバーにやってもらおうとするのは比較的、簡単に始めることができると思います。比較的若手が多いプロジェクトではコンセンサスを得やすいと思う。でもコレを続けるのが難しい。仕組みがうまく回るまでの数ヶ月はやり続けるのが大事なんではないかと思った。


 先日の勉強会で羽生さんが言っていた言葉を思い出した。「「ちゃんとやろうよ」を徹底しないと駄目」この言葉の内容について会社の先輩も言っていたが、「仕組み」は頭の中で考えるだけではまだ半分で、それをうまく回すまでやり続けることが重要でそこまでやって「仕組みができた」と言えるんじゃないかと。自分は今まで半分までしかできていなかったんだなぁと痛感。

 決めたプロセスを遂行しなくなる時点で駄目になる。かえって未経験者チームの方が成功率がたかい。みんなわかんないんだから。経験があるとアドリブ、我流が入って変にお客様に空手形を切ってしまう。そしてフィードバックもちゃんとしないので余計に・・・
「ちゃんとやろうよ」を徹底しないと駄目

TDC : 上流工程・品質勉強会を7月25日に開催します! に途中から参加してみた。 - nigredoな日々 〜 arcanum.jpの出張所 〜

ツール

 
 この本で「ツール」として紹介しているものの中には、IT業界では「見える化」や「振り返り」と言った名前で実践されているものもあり、違和感なく読んでいてうなずくことができましたが、特に印象に残ったものを下記に書いてみます。

ツール12 マルチ担当制

 
 これには驚いた。この本で言うと、担当をエリア制にしたり、メイン、サブにしたりしてひとつの仕事を複数の人で絡ませることにより、属人的なリスクを回避するとう位置付け。その中でひとつの仕事(担当)をメインとサブの2人で担当させると言うくだりがあり、なぜかペアプログラミングを思い出した。実はペアプログラミングの有効性なんてあるのかなと思っていたんだけど、先日ペアプログラミングじゃないけど、なるほどと思ったことがある。


 仕事が少なくて通常だったら1人に任せる仕事を2人で共同でやっていたことがあったんだけど、もらった仕事をこまごまとまた分けるのではなく、一緒に交互にやっていった。このときに一方は画面を見てメイン的に仕事をする。一方はサブとしてその横でやり方を眺める。いくら少ない仕事だからって分けて1人で行うとどうしてもミスの入る余地が出てくるんだけど、2人で行うことによってミスが少なくなる感じがした。実際にも目に見えて少なくなった。

ツール16 ほめ9:ダメ1

 
 ほめて伸ばすってのは最近の傾向だと思うけど、先日読んだパフォーマンスマネジメントの本を読んだときもその有効性は感じた。しかし面と向かってほめ続けるってのはわざとらしい感じがして大変だなと考えていたんだけど、この本にあるとおり「他人を介してほめる」って手もあるんだなと。そんなことも気が付かなかった自分は馬鹿者だなと思う。著者のホメワードが参考になったのでココに書いておく。
 
 
「すごい」「助かった」「期待している」「ありがとう」

ツール19 全部議事録

 
 これは自分がもっとも必要だなと感じていた部分で著者が言ってくれたので自分もこの意見に自信をもっていいんだなと感じた。議事録もそうだけど残っていく文書って結果しか書いていないので、過去の意思決定のときに通った思考が無くなる傾向がある。決定事項よりも「なぜそうなったか」「どういう経緯で」などのWhyがあとから重要になることもある。


 なのでそういった情報はプロジェクト内のルールや個人的な資料として、参考情報として別資料で残すようにしてたりするんだけど、結構これも手間だし何より情報が色々なところに分散しちゃって情報にたどり着くコストが高くなってしまう。議事録を書くときにそういったことも含めて書ければいいなぁ、どういう風に書けばいいかなぁと考えていたところなので、これはすごく参考になる。

ツール20 スキマ面談

 
 これいいね。実際自分は人を評価する立場にはいないんだけど、プロジェクトを任されるって点では参考にできる部分がある。

  • ランチや移動時間などのスキマを使って面談する。
  • 気の利いた解決策を言おうと気をはらずに、もっと大事なのは聞き役に回ること。
  • 面談するタイミングは大事。面談する本人やその周りが察して「面談して!」っと発しているかもしれない
  • 聞くべき内容は自分宛てにメール。面談する前にそのメールを見る

 
 

その他

 現在は育児、介護と言ったいわゆる時短勤務は少数派であるが、2005年から人口減少が始まっている事実からすると、20年、30年先はそれらの人が多数派になる(理由は本書を読んでね!)だろうってことも衝撃的ですが、そういった個人事情を込みで回せる人ってのがこれから必要なのかなと感じた。ウチのカミサンも時短なんでよくわかりますよ。


 この本のなかで、こんな衝撃的な言葉で現状を表しているので以下に紹介します。そうだよねぇ、いくらハードワークで月何百時間こなしてお金が入ってくるとしても、ライフが充実していなきゃアイデアの引き出しには何も入るワケないよなぁ。衣食住足りて礼節を知るって言葉が示すとおり、引き出しにモノがたまっていって著者の言う「創造的業務」ってのが見えてくるんでないかい?一回デスマーチを経験するとこの著者の言っているライフの貴重性がわかります。

ワークライフバランスの言葉で言えば、「ライフ」の場でのインプットが、
「ワーク」の場でのアウトプットのために必要不可欠なのです。にも関わらず、
「ライフ」の時間をまったく確保できず、アイデアの引き出しは空っぽ、という
状態の人が大勢集まって「ワーク」をしているのが、今の日本企業の現状です。

関連する情報

小室淑恵さんご本人のブログ

古いほう(当然ですが更新は止まっています)
http://work-life-b.cocolog-nifty.com/komuroblog/
新しいほう
http://www.work-life-b.com/komuro
ワークライフバランス手帳作りました!!*1
http://www.work-life-b.com/komuro20090713-13.html

All Aboutのインタビュー記事

軽く読めますのでお気軽に
http://allabout.co.jp/career/careerplanning/closeup/CU20060728A/index.htm


けんすう氏の話

2009年は小室さんの年らしい。この本を買うきっかけを作ってくれました。
http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/50735682.html


対談

吉越浩一郎氏×小室淑恵氏 前編
http://business.nifty.com/articles/balance/090218/


小渕優子大臣×小室淑恵氏(前編)
http://business.nifty.com/articles/balance/090408/
小渕優子大臣×小室淑恵氏(後編)
http://business.nifty.com/articles/balance/090422/


日本の人事部というサイト

結構読み応えがります。
http://jinjibu.jp/GuestIntvw.php?act=dtl&id=206


PROSEEK

心に「北極星」を持とう、すばらしいキャッチです。
http://www.proseek.co.jp/pb/contents/column/vision_bk060808.html


Associe online

目指せプレゼン達人への道
http://www.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20070412/122571/?cd=ad&M=asso&KW=04366

*1:日ごろ手帳は使いませんが、毎年この時期になると来年こそは手帳を使ってやるぞ!って思っていたので書店へ走ってみます。