arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「アンドリューNDR114」を見た

アンドリューNDR114 [DVD]

アンドリューNDR114 [DVD]

映画版です

アンドリューNDR114 (創元SF文庫)

アンドリューNDR114 (創元SF文庫)

ロバート・シルバーバーグ版

聖者の行進 (創元SF文庫)

聖者の行進 (創元SF文庫)

原作となるバイセンタニエルマンが入ってます(アイザック・アシモフ原作)


映画版 アンドリュー

 たまに見たくなるのよ。現代はbicentanial man、アイザック・アシモフが書いた小説「バイセンタニエルマン」をもとにロバート.シルバーバーグがアレンジした小説でも知られる映画版。内容はその名のとおり200年生きるロボット(人間になったロボット)の話。この手の映画では「A.I」なんかもあるけど、断然こっちのほうがいいね。聖書でも200年生きた人間の逸話があったりするが、実際には人間の脳は通常1日にたくさんの脳細胞が死んでおり、その脳細胞の死ぬスピードからすると120年は生きられない計算になるって聞いたことがある。



 リトルミスが結婚を申し込まれた相手がいるとアンドリューに相談した場面。最後に「リトルミス・・・」と問いかけたときのリトルミスの振り向きざまの可能性の表情がいい。観客ももしかして!と思ったはずだ。でも、リトルミスの結婚式で笑顔を見せるけど、その後の「何だろうこの感覚は?」みたいな表情(感覚)は非常に見ているほうもつらい。ロボットでなければそこにいるのは自分ではないだろうか・・・ロボットなのでそこまで気が付かない、見ているほうは気が付く、非常に歯がゆい。こういった感覚がこの映画では非常に心に訴えかけてくる。


 こちらのほうは、気が付いたんだけど、時間が非常にいい具合にストーリーを旨くしている感じがする。気づいたら2000年経っていた、ではなく200年という人間には十分に長い時間の中で、景色もだんだんと変わってきて観客が知っているものではなくなってくる。


 その中でアンドリューは機械という永遠ともいえる時間の中で探索を続けていき、登場人物が1人1人と死んでいく中で1人になっていくわけど、見ているほうにもなにか時間が重くのしかかってくるよね。そのころに思いを馳せるっていうか自分はどうなっているんだろう?自分の子供、孫たちは?って感じで。この映画は何度も見ているけど、結婚して子供ができてからいっそう感じるようになった。


 その中でリトルミスの面影を映す女性は素敵だ、ロボットには同じ人に見えるけど、映画を見ている僕達には似ているが違う人、たぶん孫か?というと30年ぐらいの月日がたっているんだろうなとわかる。自分が60ぐらいになって昔好きだった人に瓜二つの人にあったらどう思うんだろうか。ちょっと関係ないけどこの女性、小学生のときに好きだった同級生に似ているんだよね。

小説版 アンドリュー(バイセンタニエルマン)

 言わずと知れた映画「アイ・ロボット」のアイザック・アシモフが原作。シルバーバーグの「アンドリュー」は基本的にアシモフ版をオリジナルな部分なしに発展させたもので違いは無い。アンドリューの心の動きをアシモフ版より濃密にした感じだ。実は映画が面白くてシルバーバーグ版を知って読んでからアシモフ版を読んだので、どうもアシモフ版はダイジェスト版って感じがするぐらい。


 アシモフの小説は、どちらかと言うと論理ずめでくるような感じでハラハラ・ドキドキするような代物ではない。なので読んだあと、「なるほどねぇ〜・・・」で終わってしまう。でもなぜか面白くて読んでしまうんだよね。


 映画版「アイ・ロボット」で中央コンピュータのビッキーが主人公に「ロボット第3条が変わったのではない、解釈が変わってきたのだ」と言っていたが、それと同じでアンドリューが200年という長い時をかけて人間になるには、まずアンドリューの意思が大きいが、ロボット第3条の解釈が変わっていった事が大きな要因となる。その解釈が微妙に変わって行くのとアンドリューの人間に接する時の言葉使いなども変わっていくさまが面白い。


 映画版「アンドリュー」と違い、リトル・ミスの子孫とのラブストーリーも無ければドラマチックな長い旅も無い。ひどく自主的で自分の能力によって金を稼ぐ様は我々サラリーマンから比べるとうらやましいが、人間でもこんなに完璧にこなす人っていないのでは。


 映画版と違い、リトル・ミスの影も薄いが家族、周囲の人間から受けた愛はこちらの方が非常に強く、アンドリューには常にバックアップする人たちがいる。人間でも非常に幸福な境遇だと思う。


 その中でたくさんのアンドリューに関わる人が死んでいくわけであるがアンドリューが感じる不安は非常にわかる。たしかにこのままずっと死なずに生きていくことは可能だけど、不死ではない個々の人に関わることによって人間って言えるのでないかな。


映画と小説どっちがいいの?

 映画版と小説版は似て非なるものであるという感じ。2時間と言う限られた時間の中で映像と言う一番情に訴えかけてくるもので恋愛を交えた映画版「アンドリュー」その映画の原作となったシルバーバーグのただひたすら人間になる記録を綴った「アンドリュー」そして、そのまた原作となったアシモフの「バイセンタニエルマン」あなたならどれを面白いと選ぶでしょうか?僕はすべて甲乙つけがたいくらいおもしろいけど、映画版が好きだなぁ。