arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだ


 職場の同僚に最近読んだ本で何か面白かった物は?という僕の問いに教えてもらった本。正直興味はあったんだけど、あの表紙だったのでしょぼくれたオッチャンが買うにはちょっとねぇ・・・と思っていた。(ちょっと昔まではこういう絵は大好きだったんだがね、時間が恥ずかしくさせるのかな。僕もちょっとは大人になったのかな。)でも面白いと言われれば読むしかあるまい・・・と購入を決意。



 その本は山積みだった。萌えキャラの主人公が表紙からこちらを見ている。4,5人はいただろうか・・・その横ではドラッカーが腕組みをしている。買え!と言わんばかりに。一度は手に取り、斜め視線でパラパラっとめくる。「ケ、こんな子供がドラッカーだと?フ、笑わせるな・・・」そう書店でつぶやくスタンスを取ったかどうかは定かではない。もしかするとその主人公の目線とドラッカーの威圧に必死に抵抗したのかもしれない。



 ちょっと尻尾を巻いてキャンと鳴き、書店をぐるーっと周り、ほかに興味のありそうな本を探したけど、なかなか無かったので、「どうれ、買ってやるか・・・」と負けた気がしながらレジまで持っていく。レジのオネーチャンに「いやね、カミサンがね、ほしがってね・・・」と刑事コロンボ風に聞かれてもいない答えを頭をポリポリしながら苦笑いしたのかもしれない。そのぐらいこの手の本ってのは買うのが恥ずかしいってはなし。



 読み始めると、オモシレー!一気に読んでしまった。不覚にも、笑って、泣いて・・・いや泣かないまでもバスのなかで目に涙をためてしまった。グッと堪え外の景色を見る。文章と目をあわすたびに涙が出ようとする。ここは欠伸の出番かな。ストーリーは弱小?野球部に突然入部してマネージャーになった主人公が、甲子園に行きたい!って夢をかなえるために切磋琢磨する話です。切磋琢磨にドラッカーの魔法のような言葉が出てきて主人公は悩み、反芻し、実践していくわけです。で、甲子園はどうなったかって?それは読んでのお楽しみさ。



 先の同僚と話したんだけど、ドラッカーはこの本に出てくる言葉を見る限り、行動分析学のを思い出した。例えば本の中で言えば、練習をチーム制にするとかね。主人公達は練習に人が来ないのは試合にあって練習にないものがあると分析する。ま、いろいろあるわけだけど、それを解決するためにチーム制を導入する。人間の行動ってのは単調な練習のように「遠い将来」「不確実に」自分に返ってくるものよりも、「近い未来」「確実に」のものを求めて行動すると考えれば、チーム制ってのは、1日、1日で確実に成果が出て行く。主人公がドラッカーの言う「働きがい」をメンバーに感じてもらうためにおこなった情報のフィードバックとかもね。



 ドラッカーが真摯さが一番大事と言うが、それは仕事(問題)を解決するために、最適解として、働く人を最大限生かすようにするためには、人を欺くとか、仕事への気持ちを欺くとかってことはやってられないし、当然の帰結として人の能力を最大生かすように考えるし、真摯さが行動する上で大事なんじゃないかな。真摯さはこの物語のように時として組織の外の組織ともWin-Winの関係を作るし、また主人公が「努力」よりも「成果」が大事とひたむきに思い、夕紀の件で悩んだのにも現れていたんじゃないかな。



 この話では女子マネージャーって身近な存在を扱ったわけだけど「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」の著者が、本の中でポケットの中の財布と言うものでもイノベーションはあるみたいなことを言っていたように(貸していて手元にないので後で引用を書いておきます)、ドラッカーも(マネジメントも)実は会社の経営なんてものにかかわらなくとも自分達の身近にもあるんだなぁと感じた。本で出てきたエッセンシャル版の「マネジメント」ですが、近々読んでみたいと思います。

この演習から、いくつもの教訓が引き出せます。
第一に、財布は、解決すべき問題がいたるところにある、ということのひとつの象徴です。
ズボンの後ろのポケットのなかにさえ、あるのですから。
・・・後略