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おっさんの日記

「ソーシャルメディア維新 −フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図 −」を読んだ

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

本の内容

グーグルを目指せ、グーグルを超えるアイデアを目指せとはWeb上、実生活上良く聞いた言葉だが、いままで誰もそんな巨人を超えるようなものを作れるとは思っていなかったし、あのスピードに付いていけるなんて考える人はいなかったに違いない。そんな、グーグルを超えるサービスがあるらしい。本書によるとフェイスブックだ。というより、本書によるとグーグルを検索エンジンとするとフェイスブックSNS、この本は、グーグル(検索エンジン代表)VS フェイスブックSNS代表)もっと言うとハイパーリンクVSソーシャルグラフ(後述)と言う図式を提起し、グーグルがハイパーリンクのアクセス数を検索結果連動型広告で効率よく換金したように、今度はこのソーシャルグラフを効率よく換金できるのはどのサービスか?それはフェイスブックではないか、そのライバルとして立ちはだかるものは何か、またその未来像はどういったものかと言うことを論じた本。


 この本でよく語られるソーシャルグラフとは、ソーシャルストリームをまず理解しなくてはならない。ソーシャルストリームは、非常に細かい粒度の情報群を世界中にパーマリンク、短縮リンク、タグなどを使い伝播しまくる仕組み。あるコンテンツ(内容)が前述のリンク、タグなどを介し複数のネットサービスをまたがって短期間で世界中に流れていく流れそのもの。短い時間に沢山のサイトと、グーグルのクロール速度よりも速いスピードで伝播しまくるため、今どこで何が話題になっているのか等、動きを把握するのが困難。また、このソーシャルストリームはWeb上で均質にあるかと言うとそうではなく、分散したりどこか一箇所に殺到したりすると言う。まさに、ちょっと前言われていた「ネットイナゴ」のように飛び回る。


 このソーシャルストリームの流れを作り出す基となるのがソーシャルグラフ。一言で言うと、「人間関係とその興味の関連性」本書の言葉を借りると、「ユーザーとユーザーの人間関係はもちろんのこと、興味の矛先であるモノとヒトとコトの関係性など、様々なオブジェクト(物、目標物、対象)とサブジェクト(主題、題名)の関連性」SNSで持っているログインユーザー、そのログインユーザーがSNS上で興味があると書いたり、お勧めしたりするもの、そしてそのログインユーザーのSNS内での友達関係にあるログインユーザーなどそのSNS内でやり取りされる一切合財のすべての情報をソーシャルグラフと総括しているのかな。そのソーシャルグラフから出る流れがソーシャルストリーム。そのストリーム上に乗った話題などは、本人が書いた場所(SNS内)を飛び出て、色々なサイトで話題にされたりする。


 その深く、密度の高い(ここではプライバシーに関わるという意味で密度が濃いと言っている)ソーシャルグラフを持っているのがフェイスブックである。実名登録が基本で信頼関係が大のSNSだからだ。また、ソーシャルグラフ自体は単なるソーシャルストリームの源泉かと言うとそうではなく、ソーシャルストリーム自体もソーシャルグラフに影響を与え、お互いにフィードバックし合うもの。今後、そのソーシャルグラフを効率よく換金できる術を見つければ、グーグルを超えるサービスになるのではないかと論じている。


 しかし、世界中を席巻しているSNSは何もフェイスブックだけではない。日本ではミクシイやモバゲータウン、グリーなど、また、ツイッター、ユーチューブやユーストリームソーシャルメディアSNS)。各々が違う密度のソーシャルグラフを持っているし、そのソーシャルグラフの換金するビジネスモデルも各々異なる。またアップルはPingといわれる音楽関係のSNSで儲けている。それらSNS上から発生したビジネスはグーグルの検索(多分AdsenseAdwordsかな)以外から発生するリンクのもので、グーグルを苛立たせる。


グルーポン、ギルト・グループ、ウートなど、ソーシャルコマースという、ツイッターフェイスブックなどから発せられるソーシャルストリームを利用または発生させる形態、も台頭してきているが、これらも「検索」が行動のスタートでは無いため、キーワード検索のグーグルモデルを、人と人の関連がスタートになるソーシャルメディアが破壊し始めていることかもしれないと本書では言う。

感想

 んー、正直、僕はフェイスブック自体は名前は知っていたけど、ミクシイと何が違うの?とか、基本、実名登録なんて会社勤めの人が会社から追求されるのを恐れてする人はいないんじゃないの?とか、(私はただの小さな会社の平社員なんで実名活動消極派です)という理由で、あまり登録する気にははれなかったのですが、そのフェイスブックが今後有力と言う。


 個人が作るサービスでグーグルを超えるものなんてのは作れる訳が無い、その傘の下で隙をついたようなニッチサービスぐらいだろうと思っていたが、この本で話題になったフェイスブックも元々は学生間で使用されていたローカルなサービス。と考えると、何が未来において重要になるのかなど分からないもんだなぁと感じた。


 今後、キーワードとなるのは、この本でも登場するソーシャルグラフ、ソーシャルストリーム。その辺、人と人とのつながりなどをまとめ、ストリームを利用するような所に絞ったサービスを考える事ができれば面白いことができるかもしれない。本書で出てきたグルーポンのような、ソーシャルコマースと言う選択肢。


 どちらかと言うと、個人、企業が今からネット関連の何かを作るにはソーシャルグラフを1から作るようなサービスを考えるのではなく、ツイッターまとめサイト「Togetter(http://togetter.com)」のようなソーシャルストリームを利用するサービス、ソーシャルコマースの方が現実味があるのではないかと感じた。それは日本が資源がない国として輸入して付加価値をつけたものを輸出することで欠点を補った過去のことと同じなんではないかなと。