arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

クラス全員ポイント制 、、これは考えさせられる。教科書通りなのが

これは、怖い。
・今まで生きてきて凄く衝撃的だった体験 110度目

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 ポイント制と言うところまでは見る目はあったんだと思う。子供らにとって何をすると短期的なインセンティブがもらえるか明らかにする。これによって子供らはそのインセンティブのためにがんばる。また頑張って成果を出した分だけインセンティブがもらえる。インセンティブは中期的な月間で集計され可視化される。今でいうゲーミフィケーションだろう。でもなぜか記事では恐怖になっていた。


 行動分析学の奥田健次先生によると、(子育てに限らずなんだけど)こういう時の運用、制度設計は「アメとアメなし」だという。「アメとムチ」にかけているけど後者のアメとムチは、きちんとやったらアメ(インセンティブ)がもらえるけど出来なかったらムチ(嫌なこと)が与えられるというものに対し、アメとアメなしは単にインセンティブがもらえるまたはもらえないだというもの。この場合のアメはポイントが加算されること、またムチはポイントが減ること。


 あと、これ読んで思ったのは制度設計が6人単位になっていること。これ個人単位にやっていれば個人のささやかな楽しみ程度になったのに6人単位と言ういわゆる江戸時代の「5人組制度」にしたこと。これ、あきらかに運用が簡単だからだと思うけど、それによって、その6人の中で自主的に「アメとムチ」(このムチは単なるポイント減ではなくイジメ)を運用し始めたということ。これ、行動分析学で言う「嫌子のマネジメント」と言って短期的には成果は上がるかもしれないけど長期的にはうまくいかないマネジメント方法としてどの先生も指摘していること。先の五人組じゃないけど明らかに五人組と同じに互いに監視する社会になっている。奴隷の奴隷自慢と言う言葉にも似ている。最近話題になったのはクラス全員皆勤賞。あの感覚と同じだろう。


 この制度設計にしたのは容易に想像がつく。

  • 多分、ほかの学校で同じような制度を運用していてうまくいった経緯があり、それを担任が真似してみた。
  • 真似する際に、出来ない場合はポイント減と言う新ルールを付加した(のかもしれない)
  • 運用が簡単だからと言う理由で6人単位での運用にした(のかもしれない)


 誰が考えたか知らんがいったいこの先生は歴史の五人組制度についてどういう結果になったか歴史に学んだんだろうかと思ってしまった。結果がまずかったからそう思うのだろうけど。記事中にあるように短期的(年単位)ではうまくいったように見えたためにそれが学年中に広まった、これが恐怖の始まり。6人組のポイントの成果がクラス集計でほかのクラスと評価される。これは恐怖だろうね。個人単位または数人単位であればまだ頑張ればいいけど、クラス単位になってしまうと自分の頑張りがどんなに頑張ったってポイントや成果として見えてこない。欠点ばかりが目に着く。おまけに「できないのはおまえにやる気がないから」と言う帰結になる。(これも行動分析学で言う「個人攻撃の罠」)記事ではイジメにつながったってあるけど、クラスの中にはやったって無駄ってなって無気力にもなった子もいるんじゃないかな。(とくにイジメにあっていた子)


 結果から言うと行動分析学の入門書通りになっているところが考えさせられる。また、初めにも書いたようにポイント制と言うところの着眼点はよかったんじゃないかなと感じた。でもその制度設計、運用がまずかった。記事中にもあったように先生に言っても聞いてもらえなかったとある。多分制度を見直しもせず先生はせっせと機械的に運用していたんだろう。表面上はうまくいっているように見えるので。何かしらきちんとしたインセンティブ設計をすることはよいと思いますが、自分の子供がこんなところ(話も聞いてもらえないという意味で)で教えられたらと思うと、ゾッとしますね。


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