arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方 (中公新書ラクレ)」


 Webのなんかの記事で紹介されていたので購入。たしか官僚の給与を公開した人(その時は名前覚えておらず)と言うのと、本のタイトルが面白そうだったので購入したのと未来の自分なんだろうなとか思いながら・・・


 著者の主張としては、これからの生き方の一つとしてフリーエージェント的な仕事の仕方もあるのではないか?と言うこと。今までの業態のなかで、もちろんそういうフリーナントカ的なのが合わない業態もあるのでもちろんこれがベストとは言っていない。


 じゃぁフリーエージェント的な働き方とは何かと言うと、

p81

 一つの会社に時間や労働条件を拘束されて働くことを前提に考えるのではなく、あくまでプロジェクトベースで、流動的に複数の会社と連携して働く

 と言うことらしい。なるほど。自分のいるIT業界のフリーの方々を思い起こさせますね。もしくは中小企業の社長とか、個人でたくさんのお店のホームページを委託運用している人とか・・


 そのフリーエージェント的な働き方をする、始める前に自分の専門を確認し、セルフブランディングをして今のしがらみのない人らとも交流せよ、そして背伸びしない自分を知った人とパーティを組み仕事をしようと言うことらしい。


 本の構成としては3章までが著者の主張で、4章は日本の戦後から今までの時代背景における中心となった働き方(終身雇用制)などの説明、80年代まであれほど世界を席巻した日本が凋落した例として著者の官僚時代にかかわってきた半導体を例にとり説明しています。5章は読者に対する「こうした方がええよ」っという説明的なもの。


 世間様の見るエリートが独立して落ちていく様として、そしてそこからの復活の物語として読めば面白いです。正直フリーエージェント的な働き方に関しては、本ではなんとも未来のあるような感じに書かれていましたが、そう思う反面、そのような何か特別な専門を持っているわけでもなく、何のコネも信用ももたないサラリーマンには自分を含め、難しいかなと感じました。著者も最後にこのような働き方はもともと農耕民族の日本人に合わないのでは?と言っています。


 自分の周りを見る限り、なんとなく危なくて、今からそうなっていくんじゃないかな?とか、やんなくちゃねーー的な意識下にあるモヤモヤを著者の地獄からの生還と言う稀有な経験を通して言語化したものと言う感じがしました。ただ、四章の戦後からの労働の歴史を通しての文章は自分にとってあまり知らない世界であったため面白く読む事ができました。


 この本を読んでいてそういえば先日こんな記事読んだよなとか感じたり・・・

実際、1970年には約50年あった会社の寿命は2008年には10.3年、現在では確実に10年を切っていると言われており、日本のトップマーケッターとして知られる神田昌典さんは、2024年までには会社という組織は無くなるだろうと述べています。(2022- これから10年、活躍できる人の条件 P147)

5年後、上司はいなくなって、あなたは複数の会社に属することになる。 | リーディング&カンパニー株式会社

 以前読んだ本にも同じような事が書かれていたなぁとか感じたり・・・

この本の言いたいことは単純で、
• 会社に頼るのは危険だよ。そうじゃなくて複線的な働き方を目指そうね。
• 初めからそんな事できないから、なんでも自分で決定する癖つけようね
• なにかするにしても大きく踏み出すのは危険だよ、試行錯誤して小さな成功体験を持とうね
• 仲間見つけて補完し合おうね。そして仮想会社作って勉強しよ。

不惑なのにこの先にドキドキな40超えのオッサンが「40歳からの会社に頼らない働き方」読んだ - arcanum_jpの日記


 そういえば半導体関連でいうとこんなのも読んだな・・とか

本の中では日本のメーカーが作る半導体の過剰な品質が、市場が求めている品質と乖離があり、その市場が求める品質の半導体を作る台湾、韓国の企業に負けたという事実を言っている。本では70年代の顧客が求める品質がその後の日本メーカーの品質、仕事のしかたを決定してしまったみたいなことを書いていたけど、今の日本企業を見る限りはそうじゃないと思う。基本的に日本人は「前例主義」「管理好き」なんで、相手が求めないまでもああいった品質、工程数になっていったんじゃないかな。と、門外漢が思った。その工程数の根拠を調べたエピソードに関してはちょっと笑ってしまった。(本を読んでみてね)

「日本「半導体」敗戦」を読んだ - arcanum_jpの日記


フリーで働いている方は普通にやっているような気がしてならないのは俺だけかな?とくに目新しい事はなかった。面白かったけどね。:P