arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「南の虹のルーシー」が30年の時を経て心に突き刺さってきた件

Gyaoの無料動画で「南の虹のルーシー」が限定10話だけやっていて、「10話だけかよ・・途中で見れなくなるなぁ」なんて思いながらまぁ懐かしい事もあり見始めたのですが・・・

ギャオで見た

 正直30年前のアニメの内容なんて覚えていないわけですよ。1982年なんて「俺たちひょうきん族」でサンマがナンデスカマンをやる1年ほど前ですよ?覚えています?小学校4年生ぐらいですよ?心は永遠の28歳ですが40歳超えたオッサンがそんな大昔の事覚えてますかって!確か「南の島のフローネ」が強烈過ぎた後の番組であんまり当時は心に残っていなかったような気がします。途中で記憶を失ったりするよねぐらい。ただ、子ども心にオーストラリアの物語で外国の描写が面白かったことは覚えています。

 これがね、、30年も経ってみて思うのは、物語自体はルーシー=メイが主人公でその周りの子どもたちの楽しいとかいろんな笑いあり、涙ありの出来事なんですが、時折、主人公の家族を通じて南オーストラリアに移住した人たちの苦労なんかが透けて見えるわけですよ。それが面白いというより、自分の今の苦労なんて当時の人から見れば大したこと無いんだろうけど身に染みてきて共感できるんですよね。

DVD買った馬鹿

 とまぁ10話まで見た所で非常に面白いなと・・・続き見たい・・・うーん、、全部ギャオのレンタルだと5,000円以上かかるねぇ・・・と言う事でヤフオクからDVD全12巻(レンタルおさがり)を買ってしまいました。しめて送料込みで5,300円弱でした。これでもまだギャオのレンタル考えるとトントンか安いのです。見たら激安で売ればいいし。


ついに買ってしまいました。


これは海岸から姉妹がアデレードに到着したところですね。この後小屋を見て落胆するわけです。

 一応、以下のリンクはアニメ版の詳細なレポートです。

 このコーナーの初回で、私にとって「世界名作劇場」シリーズで一番印象に残っているのは1985年作品の「小公女セーラ」だと言った。それは間違いないが、「小公女セーラ」は確かに優れた作品ではあるけど、「シリーズ一番の傑作か?」と言われるとそうは思わない。つまり「小公女セーラ」が印象に残ったのは、当時の私を取り巻く環境や精神状況にこの物語が合致し、私の心を鷲掴みにしたからである。だからこそ主人公のセーラと共に笑い、セーラと共に泣きながら見ただけではなく、人生観まで変えさせられたのだ。

http://haijima-yuki.com/old_anime/lucy/index.htm

全オレが泣きました!!(T_T)

 ルーシー=メイが記憶を失って知り合ったプリンストン夫妻の人の好さ、記憶が戻ってシルビアはまだルーシーに心が残っているんですが最終回でルーシーの言葉により本当に自分の死んだ子どもとの決別をする。

 お父さんの物語後半で吐露した「他人の農場でなんか働きたくない」それ分かるわ・・なかなか初めに計画していた事からはずれて土地なんか手に入らなくて希望すら失いかける。好きな仕事が出来るとしても自分のもので思いっきりしたい。サラリーマンしてればいつもっすよね・・分かるわ・・お父さん。それでも生活しなきゃならん。その悩みのグルグルなんだわ・・

 とまぁアニメを見ている時点で原作読んでみたいなと・・・

原作本求めて

 と言う事で、原作を借りてきました。


ジャジャーン!!もう、この時点で馬鹿です。


 原作はすでに絶版となっており、流通していない、中古本買おうと思っても古本屋などWeb上で探しても出てこない。唯一amazonで9,800円と言う法外な値段だけ・・・うーん、、図書館は?と言う事で探したらありました。さすが図書館です。絶版本のため一般人が探せる書架には上がっておらず、職員さんに言って出してもらうようになっていました。なんだか凄いものを借りた気分です。エヘン!

 原作は方々のサイトで語りつくされていますが、非常に淡々と物語が進みます。言うなれば「淡々系」です(なんのことやら)これは原作がどちらかと言うと当時の移住者の生活などを紹介するのが主だったのが大きいみたいです。なので、読んでも読んでもアニメで涙を流すような人情噺は出てきません。物語の主人公はアニメではストーリーテラーだったケイトです。登場人物自身の描かれ方もかなり違いがあります。

 ルーシー=メイはなんか泣き虫だしケイトはどちらかと言うと男の子みたいに活発になりたい、クララなんかものすごく生真面目です。小説でも生真面目なクララとして書かれていました。お父さんのアーサーは結構イライラしてます。アニメではものすごく理性的なお父さんを演じていましたが小説では結構イライラして子どもを怒ったりしています。アニメ版でも今の日本では子だくさんだなと感じますが実はこのほかに亡くなった2人の子どもがいたりします。

 物語中盤に一緒に住んでいた医者のデイトン先生は初めに飲んべの医者って嫌ね?ぐらいに紹介されるくらいです。あの嫌なペティウェルは、えばりんぼペティウェルと言われるぐらいでさっぱり絡んできません。ディンゴのリトルも出てきませんが一番大きいのはルーシー=メイが記憶を亡くさないということです。これは、下記のWikipediaで書かれている通り、TV放映中に原作が終わらなかったためにオリジナルストーリーを入れたという事です。あとペティウェルに土地を横取りされるという話もありません。うーむ・・・

唯一「放送前に原作が終了していなかった」作品であり、放送開始の時点においてもストーリーは完結していなかった。当初、製作サイドでは、オーストラリアへ移住した一家の、希望に満ちた開拓話になると思っていた所(『大草原の小さな家』のような話を期待していて、初期のサントラも、それに合わせた曲が収録されている)、原作が徐々に製作サイドの思惑とは違う方向に話が進んだ為、スタッフはかなり戸惑いながら製作したそうである。

南の虹のルーシー - Wikipedia

 最近思ったのは、コンテンツってのは知の触媒になっているって事です。この地図もそうですが、物語を見ていて一家が購入した家ってどこにある想定なんだろう?とか物語で出てくるアデレード橋は今はあるのか?とかライト大佐って本当にいるの?って疑問がわいたりするわけですよ。一番はアデレードの発展に興味を持ったこと。

 その時インターネットってのは昔「知の高速道路」とか言われたとか言われないとか・・・と言うのは置いておいて、その疑問を基に色々調べたりして別の話題を振りまくし、物語の理解に深みが出てくるわけです。

 こちらは一家が上陸してから一つ目の家までのルートを今の地図にとか見れます。ここまで調べたりしている人もいるんです。凄いなぁ・・・

南の虹のルーシー」で上陸してテント生活をした地から、アデレードの町へルーシー達がたどったと思われる道のりを検証する。

http://chizuz.com/map/map26929.html

 物語の背景となったオーストラリアの歴史はどうでしょうか?これはこの「南の虹」の最後に訳者あとがきでわかりやすいように説明されています。

 オーストラリアは、1787年にイギリス領となりましたが、大英帝国がこの地を領土にした目的は、囚人の流刑地にするためでした。

 略

 イギリスの植民地政府は、これらの囚人を使って、オーストラリアの農業開発をおこなっていました。しかし、この地が牧羊に適することがわかり、大規模な牧畜産業がさかえるようになり、そのために、熟練労働者や経験者が必要となり、イギリス本国から移住者をつのって、オーストラリアに送り込んだのです。

 また、イギリス政府は、農業開発にも力を入れ、開墾者として移住する農民を大量に募集しました。十八世紀後半から十九世紀前半のことです。

 略

 しかし、新天地はけっして、希望の地ではありませんでした。すでに、土地は資本家などに買い占められ、自分の土地を手に入れるのは、なみたいていのことではありませんでした。

※ 略の字はid:arcanum_jpにて行った

 なるほどオーストラリアが流刑地だったのは知っていましたが入植に関してそういった背景があったのですね。物語は1,837年から1,840年あたりまでのため、ポップルさん一家は入植としては超早いほうだったんだなとわかります。アデレードの人口も300人ぐらいだったですしね。物語の中でも土地の測量がまだ終わっていない段階だったので資本家などに買い占められる前だったのでしょうか。それだけ早く行っても土地を手に入れること自体が難しかったのでしょう。

 そしてDVDを見ながらこんなの検索したりアニメを見る傍らネットで検索したりして楽しめました。こちらは原作についての紹介で結構詳細に書かれているので原作読んでみたいけど本が見つからない方など興味のある方はどうぞ。

イギリスのヨークシャーで農業を営んでいたポップル一家は、
3ヶ月もの船旅の末、ついに南オーストラリアに辿り着いた。
自由と広大な土地を求めて移民してきたのである。
ところが、そんな一家を待っていたのは、
広大な土地はおろか、
家や食べ物さえままならない、困難の日々だった。
夢を捨てず、力を合わせて困難に立ち向かう
ポップル一家の生活をリアルに描いた、ピディングトンの処女大作。

http://fermat.sakura.ne.jp/meisaku/lucy/lucy_harue.htm

物語としてはアニメに軍配が上がるね

 久しぶりにアニメ、それに釣られ原作と触れて感じたのは、これはアニメの方に軍配があがりますねぇ。原作はどちらかと言うと当時の人たちの生活習慣を克明に描写しているので、こういう生活をしていたのか、こういう考え、風習だったんだなと言った当時の状況に思いを馳せる事はできます。

 そういうのも楽しいですが、アニメの登場人物に魅力が凄くあり、見ていて感情移入ができました。主人公も姉のケイトもトブのかわいらしさ、クララの若々しいところ、ベンの性格の良さ、お母さんとお父さんの理性的な感情の機微、物語中盤に農場が手に入りそうになったとき、農場を見学に行き、購入相手へ挨拶をしようとの提案にの妻アーニーの「よしましょう」と言う表現、これ、原作には出てこないですが、日本人的な人情なんでしょうね。

 最終回ほんと泣きました。入植してから4年も待ち、農場も手に入りそうになるけど邪魔されたり最後、プリンストンさんの農場で働けるようになるかと思いきやできなくなり本格的に農場は手に入らないんじゃないかと希望を諦めかけて別の仕事をしながら酒を飲んだりしてどうにもならない人生を歩むわけですよ。そのときにルーシー=メイの考えぬいたたった一言で農場が手に入る。そして最後希望が叶うわけです。

 これ書いている時点でも思い出して涙が出ます。ほんと、人生、希望だけは失っちゃいけねぇんだなと・・ほんと刺さったこのアニメ。30年目にして面白いと思った。これマジおすすめ。家族で見よう。DVD、、どうしよう・・

挿絵

 かなりきれいな挿絵があり楽しめました。 


海岸からアデレード近辺までの地図です。登場人物の最後行きつく地域も楽しめます





これはケイトですね。かわいいです。





これはアーサー・ポップル(お父さん)です。アニメと似てますね





海岸からアデレードへ移動するシーンです。トブとアーニー(お母さん)が見えます





この家を見て家族は落胆するわけです。こ、、こりゃぁ落胆するな・・・





当時の今は無い職業です。水を樽に入れて売るんですね





ルーシー=メイとケイトがレンガを作っている所です。かわいいですね





これはパブです。悪魔の巣窟です





ベンが瀕死の羊飼いを看取ってもらった子羊です。スノーフレークと命名されます





これは街中に越してからの家ですね





壊れた鋤(すき)をビリー・ジャムリングとルーシー=メイが運んでいます。この後、父から怒られるのですが、プリンストンさんがとりなします。そして物語は急変していくのです





最後に引っ越したバーカー山にある家です。一家は土地を手に入れられたのでしょうか?