arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!」

勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!

勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!

 SNSを巡回しているときに何かの広告で見たので購入。書評からもこれ行動分析学の応用だよなぁって思いながら著者を見ると石田さん、一瞬、あれこれは行動科学系で本を出しているあの石田さんすかね?と思ったらあちらは石田淳さん(http://jun-ishida.com/)でした。ちゃんちゃん。


 さて、読んで思ったのは自分が以前からやっている「よいことシール」の進化版だなぁって感じがしました。

そこで僕は「いいことシール」というのをはじめてみた。親が「xxしてね」とお願いしてすぐやってくれたら、、、または子供が自発的になにかよいことをしたら・・・「xxはよかったよ」「すぐやってくれてありがとう」と言い、カレンダーの今日の日付に一つシールを貼っていく。当初これは、いいことしたらよいことが起きる(短期的なインセンティブの創出)という単純な発想だったが、親から見てそのインセンティブを得るためにやっているうちに最終的には習慣化すればなお良いと思っていた。

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20151210/1449751372


 自分のやっているものはどうもうまくいかなくて何がこれと違うのかなと思っていたら、カレンダーに良いことしたら貼る、いいことシールでは「習慣化したいものが見えない」と言うことなのかなと。良いことシールには、何か自発的にいいことをするのは強化できるのだが、それは気まぐれでしかないんだよね。やはり強化したい対象の行動があって、それを強化するような仕組みを構築しないと駄目ってことですね。なるほど。


 以下、本を読んで気になった点など。

 一章は成功のサンプルです。世のお母様たちが子供に与えた一冊の手帳で変わった報告ですが、もうこれでやらねば!と感じますね。僕はこれで心を絡めとられました。方法が分かればと言う方は2章以降を読めばよいです。以下、2章以降の感想ですが詳細は本を購入してみてください。値段も手ごろですし薄い本ですので、すぐ読めると思います。


 手帳による習慣化は、行動分析学系(心理学)の入門本を読んでればこの本の言わんとすることが大体分かります。「好子出現による行動の強化」でルールは単純です。本に書いてあるとおり、スケジュールにすることを書いて、できたらマーカーで消す。親はその行動、プロセス自体を褒める。これしかありません。


 オプションとして、消しこんだ数によるポイント制を導入することも良いと言っています。ポイント制にしてそのポイントからお小遣いを算出するなども可能です。ただし、ポイントは加算のみ、原則として減点はなし(これをやらなかったらポイントを減らすという脅迫はだめでポイントが欲しいがために嘘の報告などの場合は別)


 面白いと思ったのは、物との交換はNGで、理由はそこでモチベーションが終了するから。これ、自分も経験しているんですよね。子供にドリルを買ってあげ、全て終了したら好きなおもちゃ(500円ぐらいの)を買ってあげるとやるのですが、1冊は頑張ってすぐ終わる。それで買いにいく、そのときに次のドリルも購入する。だけど、やる速度が遅くなるし最悪やらない。本書によればモチベーションは終了するし、なにより習慣への毎日の行動に紐付いていないのが原因でしょう。(ドリルを全部するというのは子供にとっては数日のイベントでしかない)


本書では、たとえばお小遣い、お金への交換もやるのならポイントを全額貯金して総額を子供に見える化することや、毎週の取得ポイントをグラフ化することや、慈善団体に寄付するなどで、モチベーションを維持することが肝心と言います。


 本で繰り返し述べられているとおり、世のお母さんたちは、このポイント制やお小遣いのための勉強になるのではないか?と言う疑問や不安を持つようです、それらは本書によると「内発的動機」による習慣化の過程で全て消えます。これは自分も同意します。


P130

たとえると、「外発的動機付け」は、習慣化されるまでの”着火剤”のような役割であり、その後に、「内発的動機付け」が作動するという構造です。
いきなり「内発的動機付け」をするのは簡単ではありませんが、「外発的動機付け」がら「内発的動機付け」につなげることはできるのです。


 非常に同意しました。以前から自分は物事の行動の定着には習慣化が必要で、それらは内発的動機により行動しているのではないか?と感じていましたが、その内発的の行動は外発的な行動の連続によってのみ可能になるんでは?と思っていました。何度も同じ行動をするうちに、自動的に出来るようになり、脳はそれらの行動が重要だと思い始める。これが内発的動機。


 言うならば内発的動機付けによる行動は車で言えばトップギア、動き出したら惰性で動くことができます(習慣で動ける)が、これを停止した状態から動かすのは容易ではありません。これを動かすためには車ではローギアからトップまでつなげますが、それが外発的動機による行動。


 実はこれ、成人でも同じ状況を見ているんですよね、以前、社内で資格取得が推奨され、報奨金が設定されました。人により報奨金欲しさに資格を取る人が現れます。みんな「あいつしょうがねぇなぁ」って言っていました。でも資格を取るうちに、その資格の仕事が好きになるという現象を目の前で見ていました。大人でもそうなのだから子供だったらどうなのでしょう?


 親が子供に残してやれるものは何だろうと考えた場合、資産家でもない庶民の我々には自分は常々、「行動するための考え方」だと思っていますが、本書のP117で言っているこの言葉だと思います。

「子ども時代に身につけるべき正しい習慣の形成」です。

この言葉はとても共感します。自分も子供と一緒に週末手帳を買いに行きたいと思います。本書自身はとても薄く、1時間もあれば読める程度のものです。習慣を子供に一緒に残してみませんか?と思った本でした。