arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない (幻冬舎新書)

 電車かなんかで読んだタイトルが本屋で目の前にあり、まぁ読んでみるかと買ってみた本。著者は本「葬式は、要らない (幻冬舎新書)」などセンセーショナルなタイトルの本を何冊か出している人で、宗教学者とのことです。初めて読んだので知らなかった・・・タイトルも「親を捨てるしかない」とか、凄いですが、内容は荒唐無稽なことを言っているわけではなく、真面目な本で、主張としてはシンプルです。


利根川心中事件を皮切りに介護殺人についての言及からはじまり、いくつかの調査結果からいいまから殺人は多くなるのではないか?とし、親を捨てることが解決策の一つであるといいます。親を捨てねば殺人に、捨てれば親子ともども助かる可能性がある。なんのことやら?どうやらたとえば世帯分離と言う形で合法的に子供が親を捨てることをすれば、助かる可能性はあった。少なくとも件の事件では知っていれば違う結果になっていたろう。


とまぁ冒頭で本当に親を捨てる方法を出したけど、本の中で親を捨てるというのは比喩的名表現であって、根底にあるのは、親子ともども相手から自立せよということ。子供は精神的に親を殺す作業(自立)が必要であり、親はさっさと子供を捨てる作業(自立)が必要であると。


戦前までは家制度など、社会的な構造が人々に自立を促すように出来ていたのだけれども、それが高度成長期を経て核家族化が進むと子供が自立しないような環境になってきた。パラサイトシングルはその例である。共同体に忠義を尽くす、親に孝行するといったそれまであった忠孝の概念が必要なくなってきた。役に立たなくなってきた。家制度の崩壊や社会環境の変化で人々が当たり前と思っていた社会が根本的に変わろうとしている。価値観の根本的な転換が必要であるが人間の心が追いついていないのが現状であると。


親殺しを精神的に経験しとかないと実の親殺しというリアルを経験するぞ、という話。親も子をあてにせずに早めに子離れしなはれ、それがお互いのためつーことすかね


葬式は、要らない (幻冬舎新書)

葬式は、要らない (幻冬舎新書)