arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

犬はあなたをこう見ている: 最新の動物行動学でわかる犬の心理 (河出文庫)、犬かわいいよ、犬・・

あゆみ書房でうろうろしているときに見つけた本。あぁ、、表紙の犬がこちらを見ている・・・犬に弱いんだよ僕・・僕を見つめてくる・・・買って。。。ということか?、、一緒に家に帰ろうな・・・と買ってしまいま・・した・・・


著者は動物行動学の第一人者である、ジョン・ブラッドショーと言う方で、この本では、全体を通して、

1.犬の起源
2.しつけについて
3.犬の行動理論
4.純血種と遺伝的な障害

について書いている。

1.は犬はいつ頃から人間と生きるようになったのか、祖先は何か?など犬の進化で今わかっていること。

2.は犬をしつける事について今までのリトル狼的なイメージからの誤解から最近の流れについて、

3.は犬がどんな風に行動をし、どんなふうに感じるのか。

4.は、犬が仕事をするうえでその仕事に特化した犬(純血種)と、そこから派生した愛玩動物としての犬、の遺伝の問題、

を書いている。


犬の直接の祖先はタイリクオオカミと言うことろまでは遺伝の情報から分かっている。だが狼から飼いならしを経て犬に分化したがアナザー狼と思われてきた。だから今までのしつけの指南書などは、人間の地位が上になるように(いつなんどき狼になるか知らんよ)って言われてきたと言う。

だけど著者がいうには当の犬たちはどう思っているか・・それは

人間大好き人間大好き人間大好き人間大好き!仲良くなりたい!!仲良くなりたい!!仲良くなりたい!!仲良くなりたい!!仲良くなりたい!!

だそうだ。こんな感じかな?



https://store.line.me/stickershop/product/1127929/ja

何か違う気が・・・(笑)



犬に関する話題が多岐にわたり長いので、題名に対する答えは何か?と言われれば4章を読むといい。この辺が著者の専門区域だろうけど、その行動の理論が書かれている。一番面白いなと感じたのは犬の行動を科学的に調査したところと人間の誤解。

人間はその犬の今の行動に対して過去からの状況を加味して犬にも複雑な感情があるのではないか?そんな風に擬人化してしまいがち。嫉妬してるように見えたり、悲しんでいるように見えたり、困っているように見えたりと考えがち。でもそう考えてしまうことが犬にとっては実は非常に有害とのこと。

人間は過去と現在、未来を認識できるが、犬にはちょっとばかりの過去が分かるぐらいで基本的には現在しかない。現在の自分の置かれた状況、行動に対する周囲の反応の中で生きている。

犬には今しかないのだから今取った行動を過去と照らし合わせて人間が褒めたり叱ったりしても犬には何のことだかさっぱり分からない。そういった人間と犬との誤解がこの本では紹介されている。

犬は人間のこう感じているはずだ、という感情、希望とは裏腹に今しか考える事が出来ない頭で人間の行動を予測して飼い主と仲良くなろうと行動する。人間にはそれが嫉妬であったり罪悪感であったりと見えるというはなし

じゃぁ犬はバカなのか?と言うと、まぁ、飼い犬を見るとほんとバカだよね・・ほんとかわいい。となるけど、犬には犬の人間とは違う知性、社会がある。それは面白い事に、人間社会と犬社会の2つを認識している。他の動物には見られない柔軟性を持っているという。人間に飼いならしをされ長い期間を経て犬に変化する間で他の動物とは異なり幅広い社会性、柔軟性を得たと言うことだろうか。

行動分析学あたりの知識があるとなるほどなぁと腑に落ちる。これを読む限り、今までのしつけにあったような、アナザー狼としての扱いは要らない。褒美(食べ物なんかもだし人間とのコミュニケーションなんかも含む)による犬との対話をすればいいだけだ。

結局、犬も人間もだが動物は著書にあるように、今しかわからない中、日々の行動による蓄積(行動を強化するもの、弱化するもの)で生きているのだと思う。そこに人間の場合は他の動物に見られない過去と現在の関連性、そこからの未来を予想する事ができるだけだ。過去のポチと現在のポチの行動になんら関係性はない。

こう書くとなんて味気ないと言われるだろうが、人間と犬との幸福を感じる部分は異なる。アナザー狼ではなく今ここにいる犬に思いっきりかまってやればいいだけだ。

動物の行動を科学する著者からの犬の歴史や問題提起、など。著者も犬好きであれば訳者も犬好きで、自分が昔飼っていた犬を思い出しながら読んだ。また犬を飼いたいなあと