arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「AIが神になる日――シンギュラリティーが人類を救う」を読んだ


ツイッターでフォローしている人が出していたので購入してみた。

この本は話題のAIがシンギュラリティに到達した後、についての著者の考察です。現代のいうAIはディープラーニングやアルファGoのように一部の分野のみですが、このAIの研究が進み、能力が人間を超えたシンギュラリティが起きた後の話です。著書でも言われますが少なくとも100年以上先の未来を書いています。科学系の話ではなくどちらかと言うと著者の主張を通じての哲学みたいな本ですね。


著者はAIには人間の持つような感情は無いため、物事を公平に決定する事ができるとして、今の言い方で言うと、共産主義のような性格になるのではないか?と言う。今までの共産主義は感情を持つ人間が運用していたためにどうしても腐れるという作用が起きている。でも感情が無いAIならそのような事は起きない、と言う。


その公平な判断で世界の運用を行い、人間はそれに従うのが良いのではないか?と言う。つまり、シンギュラリティが起きてしまったら、人間が考える事は「小人の考え休むに似たり」なので考えても無駄。AIを神としてあがめなさいと言うこと。こういったAIや機械が将来的に救いになるという本はほかにもありますね。考えとしては面白いです。


スマホが神になる 宗教を圧倒する「情報革命」の力」では、AIなどが人間に判断を下さないまでも、スマホなどの端末が個人にとっての救いになったりすると言います。

神の啓示はマリア様の像などを端末として人々に受信され救われる。それと同様に個人の救い、何かしらへの答えはスマホを通して行われるようになる。例えば宗教に人は救いを求めるが、本物の宗教はいくら拝んでも答えてはくれない。だけど、スマホはググれば(望んだものかは別として)何かしら答えは教えてくれる。SNSの存在によって救われる人もいる。暇つぶしのゲームでも、個人にとってはそのゲームによって社会復帰などが行われたりと救いの面もある。聞けば何かしらの答えをくれるインスタントの神様端末なのだ。

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20170501


シンギュラリティと言うと映画で見られるように、賢いAIが人間を不要として排除にかかる・・・と言う恐ろしい未来などがあります。でもAIを積んだ機械や殺人マシーンが人間を突如襲ってくるのでしょうか?


人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)」と言う本ではシンギュラリティ後について、リアルなボディを持つAIが闊歩することは現実味としては薄い、と言う。例えば人口生命体がリアルなボディを持ったとしてもそれを維持する基盤については人間に頼らざるを得ないと。なので人間を排除するなんて事は現実味が薄いと。

実はシンギュラリティが2045年と近未来に予想されているとも本書では言っていますが、シンギュラリティ自身、著者は否定的な立場です。その理由は本書では3つの視点から論じているのですが、本書を読めばなるほどねぇとは感じるのですが、遠い未来ではそのような不安もある事でしょう。

http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20170321/1490102122


AIと我々動物ではセンサーも異なる。シンギュラリティ後、AIにとっての神経は監視カメラやIoT機器、それをつなぐネットワークだろうし。地球が自身のボディと感じるんじゃないだろうか。なのでAIを積んだ小型のボディが必要とは感じないんじゃないだろうか。


じゃぁAIが人間を支配するとはどんな事なんだろうと考えてみたけど、膨大な行動科学系の研究の分析から多分人間が意識できないレベルでの行動制御での支配になるのではないだろうか。意識せずAIの望む行動が強化されるようにAIは社会基盤、規則を整備する。行動が強化されるという事は、その世界では人間にとっても好ましい世界だろう。そういう意味ではその世界ではAIは神になれる。誰が皆が好ましいと感じるような世界を運営するAIに反旗を翻すだろうか。


こう書いてペットにとって人間つーのは一種の神だよね。飼いならすという行為は人間社会に適合するように動物にインセンティブを提示する事によって得られる行動の強化だから。動物がインセンティブを得られる範囲内では彼らにも好ましい世界だろう。ユーチューブとかで人間に撫でられて気持ちよさそうにしている猫とか犬とか鳥とか見てるとそう感じる。


著者は、シンギュラリティは既に遠い別の惑星では起きているのではないか?とし、AIがその惑星からそこの人類から離れて飛び立っているかもしれないと言う。これ、面白いね、アーヴだよこれ。星界シリーズの。そうするとAIが得る物理的なボディと言うのは美男美女・・・と言うのは置いておいて、AIが侵略してくると言うのは面白いかもしれない。アーヴに統合されたら以外に公平な世界が待っていたみたいな。


著者のいう公平な判断をしていくAIに対し、人類は反旗を翻すだろうか?星界シリーズでは人類統合体が反旗を翻していたんだけど。物語ではアーヴの作る世界は主人公の目からも公平に見えていた。対して人類統合体はどうしても人間臭く馬鹿なんじゃないの?って見えていたけどこれがなぜか本書のいう感覚に似ている。事実は小説より奇なり。人類はAIに反旗を翻すでしょうか?そんな妄想を読みながらしていた。

参考:

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

スマホが神になる 宗教を圧倒する「情報革命」の力 (角川新書)