arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

イスラーム主義、末近 浩太著を読んで

 

イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)

イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)

 

 

ジュンク堂でブラブラと回遊しながらどんな本読めばいんだ?って悩んでる時に見つけた本、そういえばイスラム教とかイスラム主義とか日本人からみて教え自身が前近代的(硬直的に感じる)でニュースで見る過激派なんか、なんだか危ない感じがするけど本当のところはどんなもんだろう?って疑問になり購入

 

色々あるが、イスラム教とイスラム主義自身は異なる、ISなどのいわゆるイスラム原理主義などがあるがそれらはイスラム主義の中の一つでしかないこと。この分類を押さえればいいみたい。以下読んでのメモなど

 

中東はオスマン帝国の崩壊まではイスラム教にとって、個人の信仰と政治は切り離せないもん、渾然一体となっているものだったけど、西洋による植民地化で分割統治と西洋化(本では世俗化という表現)によってその対比として生み出されていったもので、西洋思想とイスラム教との模索の中で生まれた考えで、イスラム教の教えを政治に取り入れましょうという主義。まぁ考えてみればその土地にもともとあった思想に帰りつつあるという感じだろうか。

 

 前述のようにイスラム主義は、ニュースなどで見るイスラム過激派などの集団と混同されることから最近では、そう行った過激派組織などが掲げるものは「ジハード主義」という言葉が使われるようになっている。

 

ただし、このジハードという言葉についても自分なんかは例の自爆テロや聖戦みたいな戦うというイメージを持っているけどちょっと違う模様。ジハード自身は「神のために奮闘する」という意味でしかなく、個人が良い、善きムスリムであるために神の作ったこの地で慈善活動に勤しむ事であったり、クルアーンコーラン)を繰り返し精読したりして理解を深めるといった事など、活動全般をいう。

 

 そのなかで(侵略など)信仰の危機が迫った時に座して死を待つのは神の意志に反するという形で武器を取るというものも含まれる。この武器を取る事に固執した主義者をジハード主義という。

 

 オスマン帝国が崩壊せず、西洋が植民地化して行かなかったらこのイスラム主義やその先にあるジハード主義というものも生まれなかったかもしれないね。またお前らか西洋!みたいな、

 

西洋じゃないけど以前読んだ話では、インドのヒンドゥー教なんかはインドあたりに侵略したアングロサクソンが地元民を支配するために作った階級制度というのが元だって聞いたけど、支配により支配者側の思想が埋め込まれるというのは何度となく起こってきたのだろう、それが中東では西洋による植民地化で分割統治時の西洋化思想の流入があり、その模索として人々の中からイスラム主義が生まれた。

 

西洋の文化って父性の強い文化だと感じていて(なので論理的な思考に強い)そういう文化に侵略された結果、混じり合い、西洋的との折り合いをどうつけていくか、本書の場合はイスラム的なものの模索が始まった。まさに西洋の物事を分析していく方法によってイスラム主義というものが生み出されたということ。

 

この本で言ってる西洋化とはとりもなおさず民主主義の事であるが、西洋から流入された民主主義が根付くのではなく、どのような民主主義を実践していくかがイスラム主義には求められるという事か、では一方戦後民主主義流入した日本ってどうなんだろうねとふと思ったりする。非常に面白い本でした。