arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

日本史リブレット、近世村人のライフサイクル

 

近世村人のライフサイクル (日本史リブレット)

近世村人のライフサイクル (日本史リブレット)

 

 

あるとき本屋で腰いでぇ!とか思いながら徘徊していると、日本史リブレット特集と言うのが見えてきた。それには

 

「86巻「江戸時代の神社」で全101巻が完成しました」

 

とか書いてあり、意味わかんねぇ!86巻で101巻完成ってなんだよ!となりつつ何冊か読んでみるとおもしろそうだなと・・・で購入。今回の本のほかに3冊ほど購入してみた。

 

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 戦前戦後あたりの日本人への分析についての本を読んでると、自然にこの日本人の性質と言うのはいつからなのだろう?と言う疑問が沸くんですよね、大体は明治期に色々と西洋に承認されるために制度を作って変わったと言うところに行き着くのですが、そうするとじゃぁ、明治以前、江戸時代は大部分の日本人の感覚としてはどんなものだったのだろう?って。

 

例えば家長父性とか昔からの日本古来の家の形態だ!みたいに言われてたり、男は稼いできて女は家を守るみたいなアレです。本当にこれは日本古来からの伝統なのか?とか。大多数の日本人の先祖は江戸時代の大多数の農民なはずなのでこう言った村人の生活がどう言うものだったのか?を読めば日本人の明治以前の体質はわかってくるのじゃないかと。

 

近世っていつだろう?とか思いつつあぁ、近世、近世だよね。。。うん、、近世、、し、、知ってるさ、、、(汗)とググって安土桃山から江戸時代末期とのこと。フフ。。知ってたさ、、、(汗)となりつつ読んでた。

 

気になった部分では、水呑百姓であってもしたたかに権利を主張していたこと。この場合の権利とは、耕作地を優先的に利用する権利、またそれらは家として継承していく。この家と言うのが江戸時代の村(この場合は農村と言ってもいいと思う)において大事な役割を持っていた。

 

子育ては女性の役割か?これについても今とは全く異なる価値観。まず、子育て自体の責任はどこにあるか?というと、家長にある。

 

P27

婦人は理にくらくして子を養う道を知らず、うまいものを食わせたり、、中略、、育児を婦人任せにすることが戒められている。

 

これが明治期に、富国強兵といった政策面で社会的な要請があり、女性は良妻賢母、母性愛といった啓蒙で変わってくる。その辺は大日向雅美著の「母性愛神話の罠」という本に書いてある。結構この本も面白かった。

 

この家長の責任だが、一切の家の運営に関する責任があったようだ。先の子育て以外も農耕であったり老衰者の介護、、、しかしながら家長と言っても財産は先祖からの借り物であると言う認識。

 

家長は男子として村の運営にも関わる。そもそも子供の教育だが、それは成長の過程で年齢別の子供組、若者組などに加わり活動する事で村の運営を学んでいくことが中心だったようだ。また、役人からの伝達は文書ベースであったため、租税など直接自分に影響があるため、寺子屋が発達した。この中で、村内でのコミュニケーション、寺子屋という村を超えたネットワークでのコミュニケーションを覚えていく。これらが村の男子(特に長男)に課せられている。

 

家督相続についてはどうだったろうか?今の嫡子相続が普通であろうか?これも異なる価値観があったみたい。武家社会は直系男子相続が必須。しかし大多数を占める農村に至ってはそこまで徹底しておらず家の存続と租税が重要で女性当主、末子相続など多くの形態があった。これが明治期で直系男子以外認めないとなる 。

 

色々と今とは異なる価値観が見れて面白い本であった。このシリーズアタリかもしれないなと。

 

増補 母性愛神話の罠 (こころの科学叢書)

増補 母性愛神話の罠 (こころの科学叢書)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

https://twitter.com/arcanum_jp/status/1203825102552305664