arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実

 本屋を物色しているうちに何やら刺激的なタイトルだなと思い、ちょっと読んでみる。これが結構面白くて購入。


とにかく文体がなめらかで読んでいて飽きない。別に歴史書ではないので人に話すように書かれた文体で「へぇ〜」「なるほど」「知らなかったなぁ」と読み進められた。糞の話、武家語、商人の使う言葉、切腹の話、なんてのは非常に面白かった。これが本当なら「カムイ伝」の世界なんてのは昭和の人が作ったフィクションで、ちょっと状況は違うと思うけど、まさにチャンバラや代官の話と同じなんだよなぁって感じた。関係ないけどカムイ伝第2部ってのは今何巻まで出てるんだろか。


 たとえば昔の既婚者がおはぐろをつけたり白粉べったりだったって事実は知っている人はいると思うけど、実際問題それをドラマでやられたら興ざめなんだよね。それは歴史の事実は事実で受け入れるけど、今からどっぷりと浸かりたいって思っている話(ドラマとか)が今の自分の感覚とすごく乖離していたらどんなに面白い話でも受け入れられないってのが普通の人の感覚だと思う。自分がその話に共感できるのは歴史的に正しいい事実ではなく、どことなく自分の感覚に近い部分があるってのが大事なんではないかい。


 そういう感覚がこの本の冒頭のチャンバラを作った人たちにあったのかどうかはさておき、江戸時代への無知が大正時代でみんなの歴史感覚をバラバラにしてしまったんだろうなぁと思う。チャンバラを作った人を養護するわけではないけど、どんなに歴史を知っていたとしてもその頃の人たちの感覚とのバランスを取って(みんなが面白いと言うものを)作るだろうと思う。


 この人の書いた本で、「九代将軍は女だった! 平成になって覆された江戸の歴史 (講談社+α新書 381-2C)」も一部立ち読みしてみて、面白そうなので時間があったら読んでみたい。


江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社+α新書)

江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社+α新書)