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おっさんの日記

「信じない人のための〈宗教学〉入門―現代社会と宗教問題の本質 (サンガ新書 41)」

信じない人のための〈宗教学〉入門―現代社会と宗教問題の本質 (サンガ新書 41)

信じない人のための〈宗教学〉入門―現代社会と宗教問題の本質 (サンガ新書 41)


 宗教というと怪しさ満点という感覚。多かれ少なかれみんな思っていることだろう。正直この本を購入するときにそう感じた。こんな本読んでいるの知れたらみんなどんな顔をするだろうって。一緒に買った本を上にしてレジに置いた。まるでエロビデオを2つのビデオでサンドイッチにして差し出すように。なんて。


 本書ではその怪しさ満点の宗教について、世界中の有名な宗教はコラムで説明するにとどめ、人間の実生活に根ざした部分から宗教を説明している。なので宗教というイメージから来る神秘的だの奇跡だの怪しさだのからは無縁でどちらかと言うと現代の視点からでもなく、過去の視点の説明も交え。現実的な問答が続く。


 でも現実的な話が続くが、この本では何も宗教の神秘性だとか奇蹟だとかを否定しているわけではない。結局僕らが宗教と言われて思い浮かべる霊魂とか言った見たことも無いのにウワサにするような話というのは死に挑む立場になった本人、関係者にはそのときストンと納得する考えに至る事が霊的であると。でも実は宗教は関係ないと言っている。ただ、その至りやすいための道筋には各宗教にあるよってことだろうか。


 結局のところ、(この本を読む限り)宗教とは各個人のライフスタイルの中で長い時間をかけて頭と体で身につける習慣なんだなと思う。映画『ベストキッド』でハンがカンフーは生活の至る所何気ない動作にあると言っていたがいつでも目的とするものは生活の中で意識せずとも自分を律し長い時間で身につけるものなんだろう。そう考えると宗教も何か怪しいものでも無いような気がしてくる。日本人が言う無宗教もそれでまた宗教(習慣)なんだろう。


 集団生活のなかで(しか)生きていかなくてはならない昔から見れば、本書の言うように躾、規範などと言ったものは重要だったしそれを教える役目、権威を持っていたのが宗教で、宗教イコール政治だというのもうなずく。しかもその権威は人々が暮らす土地に複雑に絡み合っている。しかし、宗教が経済活動、政治と別物になってしまった現在ではそのライフスタイルも相容れないものとなっている。そこに「宗教ってナニ?」って感じる現代人のギモンがあるんだろう。イノベーションの最中なんだよ。


 この本を読むときは一Q禅師の禅問答よりもそれをまとめた編集者の言葉に注意するといい。この本が言うタイムイズマネーの現代人にはよくまとめられて分かるように言ってくれる。でも、一Q禅師の言葉を聴いて自分で咀嚼してから読むから良くまとまっているとおもうんだろうけどね。


 正直この本は結論はあって無いようなものです。長い人生で個々人が見つけなさいよと。