arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)」を読んだ

 なんかなーー、つまんない題名だなぁとか思いながら著者を見ると、あれ?この人、、、どこかで、、、そう以前読んだ「統計学が最強の学問である」の著者である。ほほーー、こんな本も書いたのかぁ・・(斜めの目線で)著者プロフィールを読む・・・あれ「最強の〜」が出ていない、、なんでだろう、、、


 まぁいいか。面白そうだな(さっきのつまらない発言はどこいった?)と購入。(よくよく読んだら本の第1版が2012年3月なのねと思ったのは読み始めてからと言うのはナイショ)


 読んでみて思ったのは、なんかアレだねぇ・・問題提起をしてその後研究などの紹介という文体は、ダン アリエリー 著の「予想どおりに不合理」に似ているなぁと。(まぁあの文体がダン アリエリーの専売特許じゃないけど)行動経済学系の紹介本はこういった切り口が書きやすいんだろうなと。


 ただ、先の予想以上に〜と違うところはこの本が、世のサラリーマンのおじ様たちの悩みであり自分らにとって身近な問題であること(別にキャリアウーマンとう表現でもいいです)その悩みへの学問的な回答として、研究成果やらがあるよーー(ジャジャーン!!)っと提示していること。結構このテンプレ的な書き方が面白かった。その紹介が著者の面白い傲慢でポジティブな文体で読んでいて飽きないこと。


 自分は第4章の「どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?」と第5章の「どうすれば仕事はうまく回るのか?」が面白いと思いました。僕ほどのリア充なら先の人間関係や仕事の悩みなどないと思われる方もいらっしゃると思いま・・・うう、、そうです、、実は枕を涙でぬらしながらの毎日です・・うう・・・この本が救いでした・・・と言うのは本当かどうか・・・どうでもいい話ですが・・・


 例え4章のサラリーマンの悩みである人間関係、組織行動論と言う考え方を提示しています。この組織行動論、自分の好きな学問である行動分析学系の流れを組むもので、この章の中核はリーダーシップに関するモノですが、MBTI(ユング心理学を基にする人間の性格に関するフレームワーク)であったりパス・ゴール理論というものであったりと心理学が好きな人にはとても面白い章です。


 例えば先のパス・ゴール理論、この本ではリーダーシップについて以下のように説明しています。

 リーダーの行動が部下に受け入れられるためには、その行動が即時的あるいは将来的な部下の満足度を高めなければいけません。


 これ、まさに行動分析学の内容とその実践そのものじゃぁないですか!短期的なインセンティブによる行動の強化と、その習慣化(成功体験)による将来的なインセンティブ(大きな成果)への道筋を作ること。まさにこの5章に出てくるリーダーシップは理想の上司です。そう・・・理想と言う陽炎・・・決して現れる事はない・・orz...


 5章はIT業界ではおなじみプロジェクトマネジメントの事です。ここで凄い事を書いています。プロジェクトマネジメントとは・・・

  プロジェクトマネジメントは言わば「できるだけがんばらないで成果を上げるための知恵」でもあります。


 と言っています。みなさん「できるだけがんばらないで」ですよ?うちはプロジェクトマネジメントが強い会社ですとか言いながら連日夜遅くまで休日もなくやっていませんか?ちょっと衝撃を受けてしまいました。


 著者は日本式マネジメントとプロジェクトマネジメントの違いと言う事も書いていますが、日本的マネジメントが「すでにやるべきことが明確で、同じ定常作業を繰り返す仕事において、一人ひとりがどうがんばるか」の知恵であるのに対し、プロジェクトマネジメントはその逆に「どのように仕事を行って目標を達成するか」といった何を目標にしたらさえあいまいな場合に有効と言うことです。


 僕ら日本人はルーチンワークは得意だけど、五里霧中なものはまだ不得意なんですねぇ・・・まだ・・・と言うのはこの本で面白いこと言っています。昔このプロジェクトマネジメントを扱った「ザ・ゴール」と言う小説がアメリカで250万部と言う売り上げを上げたそうですが、日本語への翻訳はなかなか下りなかったそうです。


 なぜか?日本人がこのプロジェクトマネジメントと言うものを手に入れればまたアメリカとの貿易摩擦が生じるからだと・・・ま、、まさか・・・でもこの事実は日本人の能率の高さとして世界的に認知されているんだそうな・・・ほほう・・・頑張ればいいんだな・・・ニホンジンステタモンジャナイネ・・


 ただ、ここまで学問的とか面白いとかいい事書いてきましたが、各章で出てくる回答はほんのさわりだけです。そんな800円前後の本でそんな情報量なんかないでしょ・・・と言うことでこの本では興味を持った人へ推薦する図書なんかも載せています。(下にリンク貼っておきます)


 ただね、、こういった学問系の話題は本当に読んでほしい人には届かない、単に読書好きとかたまたま読んだ人にしか届かないというのが悲しい限りですね。そういったものへの学問的な回答はよ!というのはナイショ。



ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

第1章の推薦です。



第2章の推薦です。これは面白かった。経済学と言うのを人間の行動の研究から見ていき、それ以前の経済学では人間は合理的な生き物であるというのを覆して不合理な一面を見る事ができます。ニンゲンダモノ。



世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生

世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生

第3章の推薦です。




【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

第4章の推薦です。


行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論

行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論

これは面白かった。第4章の行動科学系の話が面白い方にはこの本ですね。(これは自分の推薦です)
これに限らず行動分析学や行動科学などのキーワードは面白いです。



世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

  • 作者: G.マイケルキャンベル,サニーベーカー,G.Michael Campbell,Sunny Baker,中嶋秀隆
  • 出版社/メーカー: 総合法令出版
  • 発売日: 2011/07/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第5章の推薦です。


ザ・ゴール

ザ・ゴール

昔、上司がこれを読んでいたなぁ・・・




ポジティブ心理学入門: 「よい生き方」を科学的に考える方法

ポジティブ心理学入門: 「よい生き方」を科学的に考える方法

第6章の推薦です。


統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

この傲慢な文体、、好きですね。面白い。