arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「増補 母性愛神話の罠 (こころの科学叢書)」を読んだ

増補 母性愛神話の罠 (こころの科学叢書)

増補 母性愛神話の罠 (こころの科学叢書)

 どうも、イクメンオサーンです。イクメンなんて所詮はカミサンの手のうちで転がされているものなのです。ナンマイダー。子供がいる家庭ではどんなに子供に興味がなくても子供の行く末を気にしてしまいこんな本を買ってしまうのです。はじめ母性と父性の心理学の問題なって本かな・・と思って買いました。


 著者の大日向雅美さんですが、発達心理学が専門であり、著書や講演では主に子育てや少子化問題について論じているそうです。子供が三歳になるまでは母親が育児に専念すべきという考え方を三歳児神話と呼んで、問題視しています。この本でも嫌でも出てきます。どうやら母性や父性の問題の本ではなく、母性愛、三歳児神話の本のようです。ナンダロそれ・・・


 はじめ自分は母性と父性の違いの話かなと思っていたのですがどうやら著者によるとそうではないみたいですね。自分は(間違っていたらスマン)母性は母親だけにあるものじゃなくて、母性、父性は人間に備わる機能みたいなもんだと思っている。母性と父性が足して100みたいな。だから父親であっても母性を発揮するということもあるんではと思う。それが無いと日常において男は人の話を受容すら出来ない。受容と書いたが母性は受容、父性は分ける、自立を促すものなんじゃないかなと。


 それらは状況によって変わるわけだし、母親が怒っているときは父親がなだめたり子供をかばったりするでしょ?鬼役と仏役。それが一人で出来る人もいれば2人でやっとこさ出来る場合もあるし。それが字面から母性は母親だけが持つものとして認識され、なので母性神話が出来たみたいな。ハイ、違いマース!!

母性愛神話

 まず、著者によると、母性愛神話と言うのは、社会的な要請もあり出てきたといい、大正時代までさかのぼるといいます。それまでの子育てと言うのは、ヨメ自体が労働力として期待されていたため、村ぐるみ、家ぐるみで行われた。しかし大正時代半ばになり、資本主義体制の強化に伴い、男は仕事、女は家庭と言う形態が社会的な要請となりでてきた。そうした中で育児を母親の責務とその当時の育児書により啓蒙されたといいます。そういった行動が1960年代の高度成長期に強化されてきたといいます。現在の子育てが母親中心なのはその名残りなのよと。


 面白いのは、著者は大正時代以前の子育ての形態として、日本では先にあげた地域ぐるみでの子育てであったり、フランスの貴族層は子育てが野蛮で下品な行為とされた、下層の民草なんかも育児のために休むよりも里子に出して労働に専念したほうが経済的に効率的とされたといいます。それが、資本主義の台頭で先の貴族の女性たちは行き場を失います。そして家事、育児に専念することが存在意義を認めるものとして歓迎された。それが母性愛の始まりとのこと。


 著者は母性愛が悪いと言っているわけではなく、母性愛神話、女性だけが育児と言う概念は古く大正時代に社会的な要請でできた「制度」であり少子化が進む現在はその制度自身が維持できないのであり、育児は女性だけのものではないと言うものです。まぁそうだよね。


 カミサンと共働きしないと生きていけない情け無い自分なんかは家事もやるし役割スイッチするけど(と言っても冒頭に書いたとおり、カミサンに転がされているだけなんだろうけどね)、まぁそうだよね・・としか思わないなぁと・・・著書によると、この母性愛を信じる人は多く、男性諸氏はもとより当の女性たちも信じて疑わない。そこに母性愛神話の根深さがあるといいます。

三歳児神話

 たびたび著者により批判される三歳児神話ですが、これは幼少期、3歳までは「母親の手で」そだてられるべきだ、と言うものです。この基になった研究がイギリスで行われたホスピタリズム研究と言うもので、子供の発達の遅れは母親の不在と言う結論からというもの。しかし、欧米では研究自体の環境が悪すぎたなど、各種反証する動きが見られたりしたのだが、日本では母親不在が強調された、そこが基になっている。都合の良いデータが一人歩きするのはいつものことなのです。


 3歳児神話なんかも自分はどっちかと言うと出来の悪い親に教育されるより幼少期に保育園とか子供と向き合うプロがいるところに預けたほうが効果としては高い。なにも母親だけがやるんじゃなくて自分もするし、効果が高いのであれば先のフランス下層の民草じゃないけど稼いできて金払って子供を預けたほうが自分の感情は抜きにして子供への効果は高いのではないかと思うのですよ。そりゃ自分が出来ることならヤリタイって気持ちはあるけどね・・


 ただ、現在の保育所の制度自身がいろんな理由があって自分が本当に効果が高いとは感じられないんですよね。なので、自分自身は子供のことについてやっぱり子供が小さいときはどちらかが休職して付きっ切りで教育出来る環境があったなら、、出来たらよかった・・と後悔するわけですよ。あ、実は主夫したかったとか言いません。子供のためですって、こどものため!


( ・ω・)っ≡つ ババババ


 自分はオット、男側なのでどんなにこの本に「あーーそうだねーー」となったとしてもたぶん女性から見れば「まだまだ・・」なわけなんでしょうけど、いくつかは男の目からも「あるある」なわけだし面白いなと思いました。


 今、自分が子育て世代で思うのは、仕事にしたってひとつの会社に「一所」懸命な考えも終わっている。少子化もある、ぐろーばる化とか言うので世界中の人と(具体的には安い人らと)戦わなくちゃならない。そのなかで正直、母性愛神話だろうが三歳児神話だろうが役割を固定してしまって生活するほうがリスクが高いんですよね、、そう感じます。それが今いなくなりつつある世代の方々はご自分の経験からこれが正しい道だ!!(`・ω・´)キリッと言う、そりゃ今までの経験で今の自分があるわけだからそう言うのもあるだろうけど。本の中の現実はそういう方々もだが現役の女性たちもそう考えてしまっているようで、ほんと硬直化してるんだなあと感じた次第。

 オチなし