
第4次産業革命! 日本経済をこう変える (PHPビジネス新書)
- 作者: 竹中平蔵
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/02/18
- メディア: 新書
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先日読んだ、「学力」の経済学、の著者である中室牧子さんがあとがきの中で、恩師である竹中平蔵氏へ感謝の意を書いていて、へーーあの人の教え子だったのですか!と思っていたところ新刊で出ていたので購入。以前、竹中平蔵さんが書いた著書「大変化 経済学が教える二〇二〇年の日本と世界 (PHP新書)」でも感じたのですが、現状と未来において、著者の言うようになっていくんだろうなと言うことが平易な文で書いてあり分かりやすいです。
この本も先の中室さんの本なども読んで感じるのは
「科学後進国・日本」
言い換えれば
「感情の国・日本」
じゃないだろうかと。これも感情なのだけれど。
本の題名にある第4次産業革命とは、AI、ロボット、IoT、ビッグデータ、シェアリングエコノミーが相互に作用して進む事象で、もともとは2011年にドイツが提唱した「インダストリー4.0」からです。この第4次産業革命は個人が好む、好まざるにかかわらず降りかかってくる現実で、
第4次産業革命というチャンスを活かして経済活性化に結びつけるためにも、21世紀型の社会にふさわしい新しい仕組みをつくっていく必要がある
としています。これにより仕組みが変わるわけですから構造改革が求められるわけですね。
その中で本書では1章ではシェアリングエコノミーについてウーバーやエアビーアンドビーを引き合いに世界で**既に**変わりつつある仕組みとそれに対する日本での取り組み、つまり第四次産業革命の波に対し現在日本ではどうか?と言う現実を書いています。もうね、これ読んでるだけで暗くなっていきますよ。なるべくして後退していくんだろうなと。
この方の本は2冊目ですが、主張は大体「既得権益」の反対に対する対抗策として本書で言う「ゼロベース特区」、労働の流動性の確保(多様な働き方)に集約します。この中で個人個人に直接かかわってくるのは労働の流動性ではないかと思いますが、本書では第四次産業革命後の人々の働き方について言及しています。
第4次産業革命後は流動性が高い企業が活躍できるため、人を長期間雇うより人材のシェアリングが重要で働き方がガラリと変わる。人により複数の企業間で仕事自身もプロジェクトベースに働くことを求められるようになるのでは?と言っています。そのため、日本型雇用を守る今の労働法体系ではそのような働き方に対して対応することはできません。今の働き方を含めた多様な働き方の実現のために法改正や規制の見直しなどを行い、労働力の流動性を高め、社会の新陳代謝が必要としています。
また、個人個人がそのような流動性の高い(代えがたいと言う意味での流動性の高い)人材になるために重要な指針としてMITのメディアラボで公開している「THE PRINCIPLES」から3つほど紹介しています。
https://www.media.mit.edu/files/principles.pdf
- Compasses Over maps
- 世間一般の人生の地図(いい大学入っていい会社入って勤め上げるなどの価値観)は早晩使えなくなる、その時に必要なのは**自分が**どの方向に行きたいか、やりたいかと言う羅針盤
- Resilience over strength
- 強さより復元力、どんなに強い何かを作ったとしても壊れる、のであれば、そこからの復元力の方が重要
- Learning over education
- 教育ではなく自身が主体的に学習していくこと
これ、3つほど紹介されましたがすべて関連付いてますね。今の価値が崩れた場合必要なのは自分の意志であり、それはとりもなおさず崩れた価値からの復元に結びつきます。そして復元するためには主体的な学習が必要になってくる。変化に対し常に学習を、と言うことです。
本書の最後では、1章から4章までほんと暗くなってくるような日本の現状などが著者により書かれますが、 最後の5章において、4つの提言をして締めます。第4次産業革命では日本は周回遅れともいえる様相を呈しているが実は部分部分では素晴らしい技術がありそれらを活用するための『入り口』として提言しています。これが実現したとして入り口ですYO!
正直この方は、巷で言われるような小泉政権で一緒になって格差社会を作った張本人というレッテルが自分の心にもあるらしく、書いてることが正論、まともに感じるのだけど先のイメージが先行して複雑な感情が渦巻きながら読んだ。ただ、この人が言う事は正論でそのようになっていくのだろう。そのためには自分は何をすればよいか・・・そんなことを考えながら