ITを活用した新しいサービスの創出にあたり、オープンデータ、ビッグデータなどのあらゆるデータの活用が叫ばれています。一方で、地方でのデータ活用はどうあるべきかは、そのイメージが深まっていないのが現状です。今回のセミナーでは、「地域のデータでビジネスを興す」と銘打ち、他地域からゲストをお招きして、各地の取り組みの現状を伺いながら、宮城での取り組みと今後の展望を描きます。
▼日時:2014年12月16日(火) 15:00-18:00
▼会場:TKP仙台カンファレンスセンター3階 ホール3A
(仙台市青葉区花京院1丁目2-3 ソララガーデンオフィス)
▼参加費:無料(要事前申込)▼主催:宮城県、みやぎモバイルビジネス研究会
https://www.facebook.com/events/1624976434396265/?fref=ts
「水産 × ITでのデータ活用の挑戦」
今回のカンファレンスに参加する際、当然始業時間中であるため、出てもいいか上司に聞いたところ、「あれ?この水産のって以前やったよね・・」と言う事で前回偶然にも上司が出ていたのでその資料を見せられた。多分これの経過報告なんだろう。
◆ITの水産業への応用に関する勉強会が開催されました◆
携帯電話やスマートフォン等のIT機器が普及し、漁業士の皆様の中でも水温情報や漁海情報の入手などに利用されている方が多いかと思います。
http://www.mimos.jp/eve/2014/140708.html
近年、さらに踏み込んで資源管理や養殖業の効率化などにITを利用する研究が進められています。
3月19日には「水産×IT〜ITのちからで水産業の未来を探る〜」としてセミナーが開催され、はこだて未来大学の和田教授からナマコの資源管理へのipadの利用などについて講演がありました。
そのつながりで、宮城の漁業にどのようにITを活用できるかを検討することになりました。最終的にはアプリを試作しモバイル端末で動かすところまでが目標になっています。
その手始めとして、今回の勉強会が開催されました。
この事業、仙台市による緊急雇用事業「震災復興のためのビッグデータ・オープンデータ利活用事業」としてアンデックス(株)がおこなっており、そこにプログラマー(研修生)として入ったプレゼンテーターが取り組んでいるそうな。( http://www.and-ex.co.jp )
内容はカキの養殖に向けて作った海水の管理アプリのこと。カキなんて自分知らんから海のいかだにくっつけておけば大きくなるんだろうなとか思っていたら大間違い。プレゼンテーターの説明によると養殖には以下のような工程があって各工程とも温度が大事なんだそうだ。
採苗 | 25−27℃ |
養生 | 22−23℃ |
抑制処理 | 5−28℃ |
挟み込みと仮養殖 | 失念 |
沖だし | 17度前後 |
本養殖 | 5−18℃ |
このほかにも各工程の説明や各工程が松島のどのあたりで行われているか説明があったけど、失念。と言うより、カキ養殖の説明がなんとも面白くてプレゼンテーターの性格なんでしょうね。カキが好きなんだろうなぁと思うぐらいで聞き入ってしまいました。
アプリは松島湾内、外海に設置されたブイに温度計があり、それらをクラウド経由でスマートフォンのアプリ側で管理するみたいです。水産という我々から見ればITとは全然関係ないだろうなと思える業種でどんな課題解決に向けた話し合いなどがあったんだろうと聴いていて思いました。
パネルディスカッション
内容として濃い部分もあったが、全体的にコミュニケーションについての議論が多かった。先の緊急雇用事業にしたって、アンデックスの三嶋代表取締役が漁師さんからのニーズを聞き出すのにしても、漁師さん自体がニーズや課題を認識しているわけではなく、初めに酒を酌み交わし、仲良くなり、そして少しづつ課題を出していく。また宮城県が持つデータを基にその課題に突合せと言う作業もあったりと、、、
カーリルの吉本氏にしたって、初めに図書館のサービスを作ろうとしたときに、当の図書館員が何が問題かわかっていなかったが、最近は一緒にやるうちにだんだんとよくなってきた。これについてはカーリルの吉本氏は、カーリルがブラックボックス化してはいけないという。ブラックボックス化してなにが起きているか分からないと、当の現場の人たちが何もできなくなってしまう。これは、関係者が自分の頭で考えていける余地を残す(課題に対する策や実行は自分たちで行う)のが大事だということだろうか。
横浜市の関口氏は、地域に入って言って対話を行う際は、相手をリスペクトしながら対話を行うのが大事ではないかと言う。あとデータを見せる場合などは単純に数字で見せてもすぐには理解してもらえないたビジュアライズしてから見せるなどしている。
データのビジュアライズと言う点では、カーリルの吉本氏が面白い事を言った。出版社などの方に地域ごとの図書館の蔵書などの分布を見せると出版社にとってそれが絶版本や今読まれている本などが分かり、ビジネスチャンスになるという。ビジュアライズすることで今までつながっていなかった業界がつながるという。
モデレータの原さんから仙台市の「ワカツク( http://www.wakatsuku.jp/ )」の渡辺さんと言う方に質問はないかと言うことを聞いたとき、地域の課題を解決したいときに利権を持つ議員さんや第三セクターなどの反対勢力をどうするのか?と言う質問があがった。
それには横浜市の関口氏がまず、行政職員だけでは課題を解決するのは無理と言いうのを宣言する必要がある。その上で議会や職員のなかにも同じくこのままではいけないというような人がいるのでその人たちと一緒に取り組み実績を一つでも作る。そして「メディアに取り上げてもらう」これが大事だという。メディアに取り上げられるとガラッと雰囲気が変わるという。
おわりに
各プレゼンテーターとも非常に面白い話を聞くことができた。自分にとって未知な行政と言う所で行われている活動や、それらを取り巻く民間企業との共同活動。何か新しい事をと言うことで合宿でサービスを作り、それを運用し、株式会社まで作ってしまったこと。漁師と言うITとは関係が無いような場所とITを結びつけて実績を作っていること。それもどれもが、未知の作業に対し、課題を見つけて解決していくという「仕事を創る」 と言う行為だということ。しかもそれらがみなお金になって回っている。
これらの事例を基にオープンデータを使って、もとい、関口氏の言葉を租借すれば、データを公開するに至った水面下にある課題を見つけ出して、尚且つオープンデータを活用しなければ、、、自分には何が作れる、課題を解決できるんだろうかと、、ビールを飲みながら思った次第。