ITを活用した新しいサービスの創出にあたり、オープンデータ、ビッグデータなどのあらゆるデータの活用が叫ばれています。一方で、地方でのデータ活用はどうあるべきかは、そのイメージが深まっていないのが現状です。今回のセミナーでは、「地域のデータでビジネスを興す」と銘打ち、他地域からゲストをお招きして、各地の取り組みの現状を伺いながら、宮城での取り組みと今後の展望を描きます。
▼日時:2014年12月16日(火) 15:00-18:00
▼会場:TKP仙台カンファレンスセンター3階 ホール3A
(仙台市青葉区花京院1丁目2-3 ソララガーデンオフィス)
▼参加費:無料(要事前申込)▼主催:宮城県、みやぎモバイルビジネス研究会
https://www.facebook.com/events/1624976434396265/?fref=ts
オープンデータとは?
プレゼンターの関口氏は、オープンデータは自治体は出すばかりであったがどう活用していくかを考える必要があるという。それは、「活用して共同で地域課題の解決」「活用して経済の活性化」と言う面からあり、それはオープンイノベーションと言う言い方をしている。ただ、オープンデータだけではイノベーションはできないともいう。イノベーションのために、オープンソースであったり共同でビジネスを起こす必要があるという。
まず、オープンデータはについて、それは「みなさんのあったらいいな」と言いうデータであり、「役所がもっている資料」「みなさんが持っている資料」「ICTの力」でデータ化が進む。そしてそのデータを使い新たなサービス、ビジネスを生み出す。
オープンデータを推進する意義はなんだろうか?実は今でも紙、電子データは別になっていて、請求すればどちらでも役所から入手が可能だという。なので実は情報公開と言う面では進んでいる。役所は申請主義であるためなかなか進んでいるように見えない。しかしオープンデータは積極的に出していこうと国も認識しているし、役所も認識認識しているという。
民間企業としての視点
ここで民間企業の方にアドバイス。
「自治体がどんなデータをもっているかより、どんな課題を持っているか?を意識した方がよい」
なぜ自治体がオープンデータを進めていてなんでこのデータを出しているのか?
事象1
例えば自治体の広報誌。昔、25年ぐらい前までは広報誌や回覧板などで書いてあるイベントであったりは行政と市民、地域を結ぶ手段、情報共有手段だったが現在はと言うと、、、実はあまり読まれていない。紙のものであってもよく読んでいるというイメージがある高齢者ですらあまり読んでいない。若者に至っては存在すら知らない場合もあると言いう。
これは驚きだ。自分の場合は広報紙もよく読んでいるし、町議会の広報もよく読む。なので情報源としては重宝しているのだが、、、横浜市と違い自分の町は仙台などのベッドタウンでまだ町人の人口比率は単身世帯より一般世帯の方が多いイメージがある。単身世帯が多ければ町内会を基本とする広報紙は配られていないかもしれない。そういう背景もあるのかな?
事象2
現代の広報であるWebサイトはどうか?ここで会場に向けて質問が。
「横浜市のWebサイトは何ページあるか?」
答えは140,000ページ。しかしそのうち生きて情報として成り立っているページは4万ページほどしかない。殆ど情報のゴミ箱と化している。検索もできないし、市民も分からない。
思ったこと
上記の事象からどんなことを思うだろう。僕は市の情報が必要な人にリーチしていないという課題が見れてくるんじゃないかな。どうやってリーチさせるか。広報紙だってばらまいても「読まなければ」だれにもリーチしない。広報紙って市民にとって「読むインセンティブ、メリット」が見えにくいんだよね、それを読んで何のメリットがあるのか?従来型のメディアである紙ではばらまく事はできてもそのあとが分からないんだと思う。
また、Webサイトにしたって今度はこちらは見る方から見れば「わざわざ見に行くインセンティブ」が見えない。なのでWebサイトは情報公開としては紙以上に万人に見せる機会は作れても必要な人がそれを見るとは限らない。
じゃぁどんな対策があるのさid:arcanum_jp さんよ!と言われてもまぁ有効な策なんかないわけで、あったらもうみんなやっているよね。自然と読んでしまう仕組み、読んで現れる短期的なメリットなどを提示できればいいと思うが・・・
情報公開
情報公開と言う意味では実は市民参加のイベントであったりグループディスカッションであったり。住民の課題、問題のワークショップなどは80年代から行っている。しかしこれらは地域の課題をデータとして見える化してやっているわけではなかった。
例えば高齢化と言う問題にしたって現在横浜市のとある地域では高齢化率40%を超えているという。でも他の地域と比べると地域により人口構造が違ったりしていて実は課題も違う。なのでデータに基づかない議論は意味がないそのためのICTのプラットフォームを立ち上げた
民間主導で
「オープンデータソリューション発展委員会」と言うのがある。これWeb上ではここで見ることができる。これらの活動は、
これらをワンサイクルで回している。これらに市会が乗りオープンデータを推進している。
行政主導で
庁内横断体制でオープンデータを推進、利活用、事例などをつくっていく。先の民間主導のようにアプリコンテストなどを開いている。そして民間に引けをとらないアプリなどを開発している。
例えば「かなざわ育なび.net」(http://kirakana.city.yokohama.lg.jp)。あとカンファレンスでは説明されなかったが自分は「横浜ごみ分別ゲーム」(https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.haleng.yokohamagomigame&hl=ja)と言うのを知っている。先日、横浜市のゴミステーションに捨てられるゴミ袋が職員によってチェックされているという話題のつながりでとあるニュースサイトで知ったものだ。
そして来年度に向けて横浜市のWebサイト自体を見直しオープンデータ化したWebサイトを作るという。サイト上で横浜市がどんな課題を持っているかをデータで示して、ビジネスチャンスにつなげる(イシューバンクをつくる)と言う。
オープンデータプラットフォームは3つのポイントがあり(あと2つは失念)そのうち「対話による創造」と言うのがこのカンファレンスでは説明された。それは
「コミュニティ経済にビジネスの手法を取り入れる」
と言うこと。これはどういうことかと言うと、いままで市民活動など団塊の世代は女性(専業主婦)が中心になってコミュニティは回っていた。横浜市と言うのは東京で仕事をして横浜では寝る所と言うイメージがあり、ビジネスやお金が絡むことは排斥されてきた傾向がある、なので、活動は無償のボランティアなどとなる。
最近では団塊の世代が活動をやめつつあるが、それに続く30−40代は活動しているかというと、未婚率が高くなってきて女性でも働いている。結婚しても女性も働くということがあり、時間的余裕がない。結果として活動する人そのものがいない
いま、高齢者だけが無償で活動しているが、地域で雇用を生み出す形で持続的なしくみを作る必要がでてきた。そこで横浜市ではコミュニティ経済をつくるためのプラットフォームとして「LOCAL GOOD YOKOHAMA」(http://yokohama.localgood.jp)というのを立ち上げた
これは地域課題を収集して課題を「見える化」して、その活動に市民は誰でも可能と言う。実はこれ、行政は一切お金は出していないと言う。アクセンチュアと言う民間企業がお金を出している。行政はオープンデータを出すのみだという。例えばこの地域ゴミが多いなとか、空き家が多いとか言った情報をローカルグッドに投稿できる。
それらを地図で見える化などしてその個々の課題に行政が対応と言うのではなく市民が解決する。あくまで行政は見える化する土俵を作るという
ほかにもクラウドファンディングの例を出す。
- 「バイターン」
- 高校生に就業体験プログラム
- バイト+インターン
- 就業支援
- 「ニットカフェ」
- 高齢者の就労を通じた社会参加
- ミシンなど編み物をつくりながらおしゃべりしたいカフェ
- 運営するために編み物会社を作る
- ネット販売
- デザイナーが絡んでいて結構売れている(手編みのしゃものは売れる)
- そこに障害者、若者などが参加していく、、
- 高齢者が稼ぎ続けていく仕組み作り
※上記の3つは通常では社会から排除されている人たちの利活用などである。
ここで経験いままでの活動を通して、アプリを開発して市場に流通という形式では無理があり、まずビジネスモデルを立ち上げる(この例でいうとプラットフォーム)このなかでデータを活用したアプリを作り、事例を作りながらモデルを回すのがいいのではないかと言う。(ただし模索中)
感想など
自分も地域の一住民としては、なるほどなぁと思った。先には書かなかったが、もう行政がすべてを行うのは無理と言う。いかに住民が動きやすいようなプラットフォームを作るか、そしてそれをいかに活用するかなんだろうな。面白いのは先のアクセンチュアの例。
これは昨日書いたカーリルの例にも後から書く「水産×IT」でも言えるけど、課題があり、それにどのように対応していくかなんだろう。自分らIT業者としてはその課題をどのように見つけるか。アクセンチュアの例はサラッとしか説明されなかったが、業者目線で言えばどれほどの時間を売り上げにつながらない活動に費やされたのだろうかと。その模索した結果が今のLOCAL GOOD YOKOHAMAとして出てきた、収益につながった?ものなんだろう。
もっと言い換えれば課題は話せばすぐ見つかるもんでもなくて、水面下に潜んでいる課題、それに対応する策を、関係者とどれだけ付き合い、見つけていくかなんだろなと。ヘンリー・フォードの名言に、「もし私が顧客に何が欲しいのかという事を尋ねていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていたことだろう。」と言うのがあるけど、それを思い出した。
「自治体がどんなデータをもっているかより、どんな課題を持っているか?を意識した方がよい」と言うのは身につまされる思いがした。IT業者は技術は持っているけどニーズは分からない。顧客は技術は持っていないけどニーズは分かる。自分もオープンデータでこんなデータが公開されている、面白そうという視点は持てるけど、じゃあそのデータを出す課題は何か?についてはあまり考えない。
ここではニーズを考えよという問いであるが、我々から見れば技術(シーズ)をニーズに変換、ニーズに対してシーズを届けるような知識なり経験なり活動なりが必要なんだろうなと。