東北の冬は・・長い。とてもとても長い冬は人々の心をも凍らせる。北海道とかの極寒の地なら中途半端な暖房は死を招くが東北はなんともまぁ中途半端な気候が災いして寒いんだだけどあんまり暖房を考えない。それは家にも現れる。
なにも人を凍らせるのは雪であったり、親父のギャグであったり、それらだけが凍らせるのではない。一見なんでもないようなものが人々の心を凍らせるのだ。それは僕らの家にもある、身近なもんだ・・それはなんだと思う?
「リビング階段」だ!
家を作る際に色々な雑誌を見ていくと必ず夢のあるように書かれているもの。そのなかの一つがリビング階段だ。子供が生まれて育ち、二階に自分の部屋を持つ、その場合に子供が必ずリビングを通って階段を使う。これがまぁなんとも理想的な家族見たいに描かれている。
が、、リビング階段には一つ欠点がある。それは二階からのコールドドラフトを引き起こすってこと。コールドドラフトとはなんだろう。Google様に「コールドドラフト リビング階段」で検索すると出るわ出るわ・・もうね、コールドドラフトと打った瞬間にあいよ!っと枕詞のようにリビング階段が出てくるではないか。人類はいかほどにリビング階段に理想を追い求め、そして敗れ、敗戦処理として不格好なものを取り付ける者もいれば、もうすべてをあきらめ悟ったようになる者、、それらはいかに人類がリビング階段の問題に立ち向かってきたかが見える。
話題が逸れた。コールドドラフトとは、冬に暖房で1階を温めていると、当然温かい空気は上に行く性質があるので階段の天井側を伝って二階に行こうとする。そして二階にあった冷たい空気が押されて階段を伝って1階に下りてくる。ドライアイスが階段を下りてくるさまを想像してほしい、、、あんな感じだ。
この下りてくるのがもう風なのだ、、微風と言っていいが西部劇なんかに出てくるタンブル・ウィードなんかあった日にゃコロコロ転がっていくんではないだろうかと思うぐらいだ。ダンブル・ウィードについては こちら でも見てほしい。
その冷たい空気が半端ない寒さに感じる。ヤマセみたいなもんだな。なのでリビング階段なんてのは1階のステップが生活空間を向かないなどコールドドラフト対策をしていないとまぁ階段に背を向けた住人は冬将軍様に無慈悲に息を常時吹きかけられているようなもんだ。
ここを考えずにリビング階段なんて作ってしまうとまぁ、、あれだ、、後悔先に立たずってやつだ・・長々書いてしまったが、まぁ俺たちがそれなんだが・・言わせんなよ。orz...
そこで我々も黙って冬将軍の攻撃を見過ごしていたわけではない。布を垂らしてみたり、梱包材のプチプチを敷いてみたりとあらゆる角度から対策は行ってきた。しかしそれでも冬将軍様の無慈悲な息吹を防ぐことはできなかった・・・
先ほど敗戦処理と書いたが・・・まぁ敗戦処理だ。それは認めよう。リビング階段とやらに夢を求め俺たちだけはそうはならない!そう固く心に誓ったはずなのに、、軽々と敗れてしまった。我々も今年こそは対策を考えて来た。過去の対策はもういい・・誰もそんなのを望んでいないだろう。今回はもっと抜本的に・・・やらねばなるまい。そして考えた。
まず我々のリビング階段はこのように階段に格子があり、途中までが丸見えになっている。そこでこの格子の部分と、最後のステップの部分に覆いをしてカゼをシャットアウト!しようという計画だ。シュビドゥバドゥバー!なんてすばらしい計画!
近くのカインズホームに行き、部材を買ってくる。90mm × 182mm(1,980円)の結構大きい部材なので寸法とか切り方もカインズの「工作室」でやってくる。この工作室、ホーマックなんかはほんと充実していて、ボール盤だったり、六角レンチだったりカッター(鉄を切るヤツね)だったり至れり尽くせりであるが、ここの工作室は違う。
なんと、ひん曲がった定規、メモリの消えた定規、ガタガタの刃のカッターとまぁ、、それで工作室を名乗るとは、、、とても工作室とは呼べないような代物であった。採寸に間違いは許されないのに、、こ、、こんな道具しかないとは!
しかし私は負けるわけにはいかぬ。ここで負ければ冬将軍様の二階からの無慈悲な息吹でわが妻は凍ってしまうかもしれぬ。そしてそれは夫婦熱も冷め、離婚へと発展、、恐ろしい・・そして子供はご飯ごはんとニャーニャー泣くことになり路頭に迷ってしまうやもしれぬ。それだけは避けなければならぬ。
自分は決心した。妻のヒーローになることを・・・「お父さん凄い!」のシチュエーションを妄想した。そして工作室に置いてある40cmぐらいの定規をグワシっと握りしめ、147cmを図ることを・・・30cm×5+27cmだ!横は85cmだから30cm×2+25cmだ!なんと冴えていることか。私の頭はコンピュータのようなスピードで図るべき最小の回数をはじき出した!神がかりな採寸をし終え、そして僕はアクリル板を切った。ジャジャーン!
そして家で切って来たアクリル板を当てはめて格子の場所を図る。ここはもう実寸ではかっていく。
あの格子にどうやってこのアクリル板を貼り付けるのだろう。両面テープ?いやいやそれじゃカッコ悪い。と言うことで格子の部分に穴をあけて紐で結わえる。できた!見よこの・・勇士を、、、まぁ勇士だ、、俺にしては立派にやった。ちょっとカミさんの顔が不機嫌に見えるが、、、
まぁ俺はやった!この寸法違いの部分がはみ出しているのもなぜか味があるし、ぴっちりとはまらなかった部分なんかなぜかほほえましい。DIYは手作り感が楽しいのだ、、結果として手作り感が見えないと楽しくない!うん、そう思おう。
そして次は、階段のステップ部分のカーテンである。採寸するとまぁ80cmなので100cmの短いカーテンレールを買ってくる。そしてそれにつるすカーテンだが、、、近くのホームセンターで娘がこれが欲しいときかない・・・もうこれに抱き着きぶら下がる気でいる。カミさんも子供がいいなら・・・なんて思い始めている・・
こ、、これは、、、これは無い!さすがにこれをリビングにつるすのは家への冒涜ってもんだろ!なんかシャワールームのカーテンのようにテラテラしている。階段の電気の前で人影を作り、ヒッチコックごっこでもすると言うのか・・(意味不明)冬将軍様の笑い声が自分の心にこだまする。
そのような娘のニャーニャー泣くような懇願にをよそに、我々は激論の末この無難な一品にたどり着いた。まぁ無難だがあのリビングにはまぁ、、、少なく言ってもまぁなんだ、、アレだ、、普通すぎる。これじゃ家に付けても新しく買った感じがしなくてお得感内ではないか!いえいえ、普通の僕らは普通のものが家にあると落ち着く。
これを購入してカーテンにしてもらう。だいたい2週間以上かかった。以外とかかるんだな。彼らの作業のWBSはどうなっているんだろう。多分我々IT業者のような無理のあるWBSなんて引かないんだろうな、、とか思いながら僕は彼らの安定した仕事に安心した。なんせ2週間ぐらいかかりますと言われてきっちり2週間で仕上がってきたのだから。その間リスケなんて言葉は一遍も聞かなかった。
しかしその間コールドドラフトは容赦なく妻のいる場所に吹きかける。将軍様の無慈悲な息吹はもう彼女の気持ちを凍らせていた。「いかん!頑張るんだ!ここで頑張らねば誰が頑張る!寝るんじゃないいぃぃぃ!」心の中では黒澤明監督の「夢」で出てきた雪女のシーンを思い出していた。しかしそんな言葉は虚無の中に飲みこまれていく。とまぁそんなことがあったとかなかったとか。そしてカーテンの取り付け。そしてこの雄姿を見よ!ジャジャーン!!
カミさんの表情も幾分か紅潮しているように見える。あのかっこよかった階段にこんな不格好な部品をつけるなんて!これこそ冒涜である!と心の中で感じてしまったがそれは多分ウソの感情である。そう思う事にしよう。うむ、かっこいいしそんなこれをつけたオレはかっこいいだろう。これでカミさんのヒーローだ。
勝った!勝ったんだ!おれたちは冬将軍様に勝ったんだ!これまでの苦労、あんな不格好なプチプチを貼り付けていたのはもう過去の日々なんだ!なぜかホホを生暖かい水が伝う・・暖かいリビングで寒くて寒くてと言う謎の現象に悩まされていた日々は過去になったんだ!そして僕らは陽だまりの中で暮らしていける。心の陽だまりの中で・・・
そして、、、とまぁ考えてしまったが今年の冬はこれでどれだけ寒さを防ぐことができるだろうか・・