いやぁ衝撃を受けた本だった。面白すぎた。
一揆というと、江戸時代の農民たちが重い年貢にしびれを切らして「オラ達もうお上に我慢できねぇだ!」とクワやカマを武器に持って米屋を打ち壊しながら代官を引きづり下ろそうとする革命みたいな、白土三平のカムイ伝みたいなのを想像してた。実際カムイ伝をペーパーバックスで読んで、面白いなと思っていた層。
ここで一揆のイメージってのは
- クワやカマを武器にしている
- 米屋を打ち壊す
- 代官を引きづり降ろす革命的なもの
などの最終的には政権打倒などを目標としたもので、そんなイメージを持っていたが、実はそれらは戦後の一揆研究がマルクスの思想から流れる「階級闘争の歴史」感に基づいているからだという。実際には
- クワやカマは持ち出すが農民は武器として使用しない、為政者もなるべく武器は使用しない
- 米屋は打ち壊すがそれらは当時の金持ちは有徳人と呼ばれ災害の発生時には富めるものが富を放出して貧民を助けるというのが社会的な要請であり、放出しないと強制的に放出させるためで当たり前のことだった模様
- 階級社会の中で農民は要求(年貢が高い等)を訴えるという行為のみ。打倒を目指すわけではない
本書によると一揆とは上で書いたような革命的なものではないという、読んでいて感じるのはどちらかというと団体交渉のようだ、実際本書でもそのように書かれる。
直訴や逃散(ちょうさん)という制度も面白い。江戸時代というと農民は生まれた所に死ぬまでいるというイメージだったが、この制度で実は村から逃げるという選択肢も存在していたしそれらはお上から認められていた。
いやそれ現代の話じゃないの?てだんだんなってくる。今も団体交渉って権利はあるし、会社に不満があれば退職で別の会社に行ける。でもまぁ殆ど行使されないよねぇとか、思いつつ、
じゃぁ今の日本人が上で書いたような一揆(労働争議)を起こせないのはどういうわけなのかなぁと思いつつ、教育なんだろうなぁと。