arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

プログラマから見たEVMによる利点 その3 Bull's Eye Chart

 EVMについて調べれば調べるほど面白いなと思うと同時にプログラマから見ても有用な情報が出てくる。今回はBull's Eye Chartについてちょっと調べてみたのをメモします。

Bull's Eye Chart

 SPIやCPIは、時間軸に沿って効率が上がっているか、下がっているかを見れるので便利ですが、SPIを横軸に、CPIを縦軸にし、各作業効率を1つのチャートとしてあらわした図がBull's Eye Chartです。この点を描画する場所によって、今現在どのような状態か、ということがある程度わかります。この点の描画場所によってどんなことが分かるのでしょうか?


右上にいる場合
  • ここにいる場合、コスト、スケジュールとも順調です。
  • 座標軸のこの位置にくるように管理をしていけばよいそうです。
左上にいる場合
  • スケジュールは遅れ気味なんだけど、コスト効率はまだ良い。
  • さらなる残業などACを増加(コスト効率を下げて)させてスケジュールを進めていけば挽回(図の右上に移動すること)は可能。
  • 多分作業効率のいい人(定時で上がれる人)と悪い人(何か問題があって定時で上がれない人)がいたりするので、効率のいい人に手伝ってもらうとか。
  • そもそも効率のいい人の計画値が妥当だったか判断する必要があったりします。(計画がユルユルだった場合、その人だけのACが極端に下がるはずです)
右下にいる場合
  • スケジュールは順調だが、コストがかかっている。
  • オンスケまたは前倒しにするように残業なんかで対応している可能性があったりするそうな。
  • こういったのはWBSだけの管理では絶対に見えてきませんよね。
  • そもそも期間を優先して前倒しにしたはいいけど、コストかけすぎていないかとか。(どこまでコストをかけて前倒しにする必要があるのかなど)
  • 前倒しはすればするほど良いというわけではなく、重要要件ではない部分などは、仕様変更などがあった場合の影響範囲が大きくなるので、やんない方がマシという場合もあります。
左下にいる場合
  • コストかけてもスケジュールが遅れている状態。
  • この状態にきているということは何か対策を打たないと・・・と頭の危険信号が鳴っている状態です。
  • SPIとCPIを二つ漠然と見ただけではこの頭の危険信号は鳴りづらいと思います。
点の場所によってプロジェクトの状態が一目瞭然となる。

 上記で書いたように、Bull's Eye Chartのどの場所に点が描画されるかによってプロジェクトの状態が一目瞭然となります。下記に上で書いたものをまとめてみたいと思います。

時間経過で線を結ぶ

 過去の値を線で結ぶことによってどのような施策をすればよいかを考える指標になります。点の場所、次の点への方向によって意味が変わってきますので、なるべく右上に線が移動するように対策を打っていく必要があります。下の場合はコストは多少かかっていても、スケジュール自体は前倒しでまだよかったのですが、翌月にはスケジュール、コストとも悪い方向に向かっています。何か対策を打つ必要がありますね。

全体と個人のBull's Eye Chart

 Bull's Eye Chartは全体で描画すれば全体の傾向になりますし、個人単位で描画すればもちろん個人単位の図になります。これは全体の図では順調に見えるプロジェクトが個人単位で見ると実は何人か遅れが発生していたりする・・・と言うのを確認できます。(全体に対して明らかにおかしな線を描画している人がいますので、まず、パフォーマンスを下げている人を特定しやすくなります。)


 また個人単位で見ることは、その人がうまくいかないのは何が原因なのかを特定するためのきっかけになります。(パフォーマンスを下げているのは図ですぐにAさんと分かったが、ヒアリングするとそのAさんに仕事を頼んでいるBさんのやり方がまずいとか、そもそもAさんはBさんが嫌いでしょうがないのでパフォーマンスが下がっているといった問題など)


その1で見たSPIとCPIを参考に(参考になるかは分からないんだけどね)Bull's Eye Chartを描いてみたいと思います。


 尚、線の移動し具合というのはプロジェクトの性質や、メンバーによって異なってきます。極端な場合、「私はアノ人がキモくて大嫌いだからアノ人と関わる部分の確認が嫌で遅れてます」とか、個人的な理由がかかわってくる場合もありますので、「この場合はこういう対策」「こういう線の移動はこれをする」といった対策のパターン集は無いとのことです。よってこの辺は管理者の経験、プロジェクトの観察が大きく左右する部分だそうです。


 いちプログラマが個人的にこの図を利用するとしたら、自分の線が左下に向かうようになっていたら、その原因(自分由来の原因/他者由来の原因)を考えるアラームになりますし、現在の場所によって残業などで自分のACを上げることで対処できるのか、そもそも残業なんかの対応では間に合わないというアラームなのかを考えることができるのではないでしょうか?