arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「上から目線」の構造 (日経プレミアシリーズ)を読んだ

「上から目線」の構造 (日経プレミアシリーズ)

「上から目線」の構造 (日経プレミアシリーズ)

 本屋で一目見て、「あー俺の事か!上司からよく言われるしね。」とクギ付け。それで購入。

内容とか

 本書では上から目線を2つに分けている。「実績の伴わない上から目線」の言動、「実績の伴った親心的上から目線」の言動。上から目線を2つに分け様々な論文、事象を交えながら説明する。はじめの2章は上から目線を感じる心理状態と上から目線になる心理状態の説明、そこから先は日本の「甘え」の文化を中心として日本人の心理構造について。そしてその甘えの構造がベースとして、最終章の上から目線の正体を「父性」と「母性」の面から説明している。


 読んだ感じ、先ほどの「実績の伴わない〜」については劣等コンプレックスを抱えた人間が「勝ち負け」「上下」の図式にこだわったとき、自分を守るよろいとして「上から目線」でねじ伏せると言う殻をかぶる。また、「上から目線ですね」「なにその上から目線!」と言う言動で実績の伴わない自分を守ろうとすると言うことなのだろう。


 なぜ若者が「上から目線」と感じるのかについては、今は「父性」と「母性」のせめぎあいなのかなと感じた。日本は元々「母性」の強い社会。戦後西洋文化という「父性」の強い考え方が流入してきたが、その中で日本は今、その父性と母性の入り混じった状態であり、その着地点を模索している状態。その中で若い世代は今までの母性文化の中でどっぷりと成長する訳にも行かず、かといって父性原理での行動も抑制される。心の中に母性原理を抱えたままであるために劣等コンプレックスを隠すために親心的な上から目線までも拒絶しているという感じなのだろうか。


 色々な人の論文、著書を引用し、なるほどなぁ、面白いなと感じた一冊。