arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「居酒屋を極める (新潮新書)」太田流居酒屋論集大成なり

居酒屋を極める (新潮新書)

居酒屋を極める (新潮新書)


 ビッグコミックオリジナルで居酒屋関連のエッセイを連載していた著者の本。ビッグコミック自体の連載は書籍化したのだろうか。著者の面白い文体に惹かれて購入。まぁ一人のみなんてものに自分も魅力を感じてなんだけど。先日まで東京にいた時には一人飲み・・・あんまできなかったなぁ・・やってもなんか居座りが悪くてスマフォなんかいじったりして。なんてのを思い出しながら。


 軽快な語り口、自分も飲みたくなってきます。この手の食べ物の本で楽しいのは東海林さだお著のまるかじりシリーズもだけど、あちらの面白さとはちょっと違う。あちらは物事を斜めから見た笑いだけど、こちらは居酒屋と酒を真剣に熱く語ります。もう一章から太田節全開でそれはもうなんか飲みながらほろ酔い加減で書いているように楽しい文章。


 自分もオリジナルの連載で載っていた仙台の文化横丁にある飲み屋に同僚を誘って行ったっけ・・自分ひとりでは入れないからね・・あの店なんて言ったっけ・・・と思っていたら本書でもありました「源氏」です。おいしい熱燗をいただきました。


 著者は今は居酒屋評論家と言われているそうな。自分は先のオリジナルの事しか知らなかったんで結構有名な人なんだなぁと今更ながらGoogle先生でググって結果を見ながら驚いている所。


 元は資生堂のデザイナーから社会人をスタートした方なんだそうな。その中で会社人として飲み方を覚え、デザイナーの仕事とは別にバブルの頃はやった美食ブームのアンチテーゼとして好きになった居酒屋、酒について発信していくうちに単行本、雑誌の連載、TVの連載、と幅が広がっていったそうな。持つべきものは自分の武器と別の短剣なんだろうね。


 居酒屋を極めるとありますが、基本的に一人飲みの本です。数人で行って、、親しいあの人と行って、、そういった場ではなく居酒屋とは一人を極めるものだと著者はいいます。そのための心得として太田流の居酒屋での過ごし方が酒はもとより、料理、人、実際の店、歴史など幅広い面から描かれます。なるほど。


 著者は居酒屋を応援する方法として、定期的に顔を出してお金を落としていくことだと言っています。考えれば当たり前の事なのですが、この言葉、以前読んだ蕎麦の本でも同じことが書いてあったのを思い出します。蕎麦屋の常連になるにはどうすればいいか?一度に1万や2万などの大きい金額を落とすのではなく毎日通い、蕎麦1枚を頼む事だけでいい。たしかそんな言葉だった。(著者、本、失念)


 軽快な読み口で2時間もあれば読めるような薄い本です。面白く居酒屋に行ってみたいんだけど・・と言う方は読んでみるといいですよ。自分もまだ見ぬ応援する居酒屋を求めて町をさすらいますか・・




 
トンカツの丸かじり

トンカツの丸かじり

もうね、、東海林さだお著の文章は一級品だよ。電車の中では読まない方がいい・・・【閲覧注意】