- 作者: 出口治明
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/03/30
- メディア: 新書
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どうも、毎日カミさんから考えてよ!と言われるADHDオットです。考えられないので本物の思考力など手に入りそうにありません。悲しい。別の本パラっと読んで面白かったので、買おうと思ったけど、題名忘れたので、著者名だけで見つけたこれを購入。本物の思考力って、、、成功した方の年齢なりの経験で得た知識が書いてあるのでしょうか。
本書では本物の思考力とはと言う話題から、日本の現状、課題、提言などもあり色々と示唆される本だなぁと感じますが題名にもなっている本物の思考力とはなんでしょうか?書いてあるのは3章ですが、腹落ちするまで考える事により得られるプロセス、習慣という事みたいですね。腹落ちとはこの年代の方によくある表現ですが、腹に落ちるとは著者曰く、
p139
優れた他人の知識や思索、思考のプロセスなどを吸収したうえで目の前の課題を自分の頭で考えぬき、自分の言葉で自分の意見として他人に伝えられると言うこと
外から入ってきた知識を自分の生きた知識とするという事でしょう。その際、判断で必要なのは、数字、ファクト、ロジックを基に考えるという事で、この3つは本書の中で何度も出てきます。またそれらが皆さんの松明になってくれると言います(p72)。これいい表現ですね。
この辺は今井むつみ教授の以前読んだ「学びとは何か」と言う本でも同じような事を言っていました。知識とは2種類あり、それは死んだ知識と生きた知識。前者は暗記などで頭で覚えた知識で、得た知識を自分の今までの知識を使い「主観的に」検証し、評価することによって生きた知識となります。人が物事を覚えるから学び続けるというプロセスを分かりやすく説明してくれます。とても良い本で子育てしている人、していない人関係なく読んでいただきたい本の一つですね。
面白いのは、著者が、数字、ファクト、ロジックが必要と繰り返し述べておられますが、この腹落ちするというプロセスは得た知識を「主観的に」評価する事が必要なわけです。人間だもの。最後の最後は自分の主観で判断し、自分の生きた知識とするわけです。面白いですね。
「学びとは何か」では知識の事をスキーマと言う表現で言っていますが、主観的に検証したスキーマは正しいでしょうか?数字を間違えて理解しているかもしれません。事実と思っていたものは別の見方をすれば事実ではないかもしれません。ロジックで考えたつもりが、感情で考えていたかもしれません。
実は間違っていてもいいんです。先の「学びとは何か」でも言っていますが、それは間違ったスキーマを作らない事(腹落ちした答えが間違ってはいけない)ではなく、間違ったスキーマを**絶えず**修正していくシステム(習慣でしょう)を作る事が重要だからです。ここから言えるのは、1つの物事に対する腹落ちとは1度ではなく複数、何度も行われるという事でしょう。人生一生勉強なわけです。
- 作者: 今井むつみ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/03/19
- メディア: 新書
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本書のなかで重要な概念はスキーマです。その人の今までの経験を含めてバックボーンとなる知識のことです。知識を吸収するときにはこのスキーマを使いながら知識を吸収していきます。生まれてから人に教わるまでもなく自分の外界の観察から自分自身で作った概念(システム)なので、間違っているかもしれません。本書では、スキーマは誤ったスキーマを作らないこと、ではなく、間違ったスキーマを絶えず修正していくシステムを作ることが大事といいます。それらがものごとの熟達への道となります。
http://d.hatena.ne.jp/arcanum_jp/20160527/1464359954
ではその知識や思索、思考のプロセスはどのようにして得て行けば良いのでしょうか?著者は、
- イエスノーゲーム(土俵の整理)
- 課題を整理し、思考を単純にする
- 常識を捨てる
- ラジカルに物事を考え、根本的な部分にフォーカスする
- 人、本、旅からの吸収
- 知識を得る源泉は人、本、旅が最適
と言います。
常識(この場合その人のしがらみ、感情だと思います)を捨て、ラジカル(根源的)に考え、根本的な課題の解決をするように心がけます。そのためには、日ごろから自分の課題と他人の現状や自分の環境をごっちゃにせずに土俵を整理し、物事をイエスノーで答えられる選択式に分けられる努力をします。その選択肢を、「数字、ファクト、ロジック」でメリットのある方を選択する訓練をする。
人とは、人から学ぶという事で「優れた人と会う」と言う事ですが、じゃぁ優れた人に会うにはとなりますが、そんなの著者にもわかりません。何事もトライアンドエラーが必要ですが、人に会うために絶えず行動する閾値を下げる努力をするという事ぐらいです。例えば本書では、誘われたらYESと言うルールを作るなどです。
上記の3つの中で本が知識を得るには一番効率が良いと言います。まぁ当然ですよね。著者は古典を勧めますが、本は人類の苦労の結果の美味しい答えが載っているわけです。また古典はその答えが長い年月をかけて検証され、ブラッシュアップされています。また百聞は一見にしかずと言うように、旅なども有効といいます。
ただ、体に入ってきた知識をすぐ使えるようにしていないといけません。得た知識は忘れるというのは無く、思い出すとっかかりが無い状態。そのため、そのとっかかりをどのように作っていくか。これが本書では、人と話すであったり、人が見る場所(ブログなど)に記載しておくのもいいという事です。つまり、インプットで得た知識は、自分の頭で考えただけではダメで、腹落ちした知識を他人に言えるように整理し、アウトプットして言語化しておくのが重要なのでしょう。本書では著者の出口さんの色々な話題からもっと詳しく方法は知る事ができます。
しかしこの知識を得るのは一朝一夕に出来るようなものではありません。毎日の知識の吸収が必要なわけです。著者も繰り返し述べられますが、「勉強しなければ賢くなれない」です。また、別の著書やインタビュー記事でも5500年前に興ったメソポタミア文明の粘土板にも「商人の言うことを聞いていたら騙されるだけ」と方々で言っているように日々勉強、一生勉強が重要なのでしょう。
心が折れそうですね。今からやっても間に合うでしょうか?しかしそれにも著者は面白い事を言っています。
p124
どんなに後悔したところで、過去は取り戻せません。ですから、後悔しても意味がないのです。そして「もう遅いのでは」などと悩む暇があるのなら、四の五言わずに、いますぐ勉強を始めればいい。これからの人生のなかで、「いまこの瞬間がいちばん若い」のですから、今晩から勉強をスタートすれば、明日には1日分成長することができます。それを積み重ねていけば、1年後、5年後、10年後には大きく成長していることでしょう
面白いですね。この瞬間こそが人生で一番若い。この言葉には、以前読んで感銘を受けた「天才になるのに遅すぎるということはない」と言う海外の文章の訳を思い出します。
クリエイティブになるのに遅すぎるということはない。違いを生み出すのに遅すぎるということはない。ただ・・・挑戦し続けることだ。そしてあの九十何歳かのおばあちゃんが後悔していることがありますかと聞かれたときに、何と答えたのかを覚えておこう。「こんなに長生きすると知ってたら、60の時にバイオリンを始めたろうに。そしたらもう40年の経験を積んでいたことになる・・・」
http://www.aoky.net/articles/kathy_sierra/its_not_too_lat.htm
じゃぁ、3章で言っていたことを続けるにはどうすればよいのでしょうか?上記の方法、知るのは簡単です。でも実行するのもできます。でも続けるのは難しいです。4章ではその続ける方法を書いています。本書で一番薄い章だけど何気に重要な事を言っています。続けたい事は仕組化しましょうと。三章でいくらインプット、アウトプットなどの方法論があったとして人は怠けるので続かない。続けるためには何かしらのインセンティブ、デメリットを提示しての行動しなければならない状態に置こうと言う。これはもう行動の強化の話ですね。行動科学の分野になってきます。
この本を読んで感じたのは、それはそれほどセンセーショナルな事を言わないまでも、ホリエモンと似ているなと感じました。いうならマイルドホリエモン。数字を大事にし、思考プロセスを単純にし、常識やしがらみ、それまでの習慣は関係なく、ルールを決めて行動の閾値を下げて(と言うより行動しなくちゃならない状況に置いて)毎日楽しい事が入るようにしています。楽しいファーストの行動原理で若いと言う事です。先の一生勉強を混ぜると、一生勉強一生青春とでも言っておきましょうか(無理矢理)僕がいつも言う言葉ですが・・・
ホリエモンも自分は好きですが、そのホリエモンと同じような思考を持つ、この方も自分は好きだなと感じました。本書に出てきた著者のルールの中で、10人集められれば講演に来てくれるとありますが、自分もリアルで話を聞いてみたいと感じました。10人集められますかね。