- 作者: 山崎将志
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/04/09
- メディア: 新書
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タイトルに惹かれて購入。本当は先日から「もしドラ」を読んでいて、当然その次は「マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]」だろうと鼻息荒く書店に入っていったのだが、その厚さに意気消沈、で、幽霊のごとく本屋をさまよい続け、その姿はヘルニアで足を軽く引きづりさながらゾンビのようだったろう。流浪の民となった僕は一冊の比較的薄い本に出会った。そういえばこの本は「もしドラ」の横においてあったっけ。なんかタイトルも面白そうだねと、自分はその日の目的も追行できない残念な人になって購入。
ほっほ〜・・・面白い。読んでみるとさらりとした文体なんだけど物事をちょっと高めから俯瞰するような感じで書かれている。その中に筆者の、落語で出てくるような江戸弁のようなちょっと辛口な文章が混じっていて、アルコール高めのビールを飲んでいるようだ。のど越しはよくて少ない量で上機嫌になれる。
残念な人というのは著者曰く、頭もいいし、能力もあるんだけど働いても働いても結果がいまひとつの人。もったいないなぁと言う感覚で、「残念」は「可能性」の意味だそうです。そう「可能性のある人の思考法」なのでタイトルからすると僕のような仕事もあまりイマイチな人を笑うような本かと感じてしまいますが、本全体を通してそういった残念な人の思考法を通して、どこが悪いか、また、前進するためにはどのような思考法があるか、フレームワークなどの紹介もしています。著者のコンサルタントと言う職業柄、集団を外から見るから当事者ではない分、色々と残念な部分が見えてくるんだろうなぁ。
そのなかで骨子となるのはプライオリティと言う言葉。残念な人の仕事と言うのは、状況におけるプライオリティの付け方が間違っているために結果が残念になるというもの。プライオリティと言うのは仕事をするための「前提条件」であり「考え方」「価値」など。
本書の中で一番機になったのは「エンプロイアビリティ」から「カレーの中の肉とたまねぎ」の話あたり。IT業界には「プログラマー35年定年節」なんてのもあり、カレーとたまねぎがそれを端的に表しているなぁと感じたから。プログラマー(肉)として生きていたくても、本書でも言うようにエンプロイアビリティを高める技術は標準的なもののために、年齢が上がっていくと自分が競争しなくてはならない人が若い人になってくる。
そうすると頼む側も頼みづらくなってくるため、35歳を境にマネジメント系に変わっていかざるを得ない。また、業界の人月っていう単価もそれを後押しする。その結果、スポーツ界と同じようにプログラマーとして35歳の壁を越えてやっていけるのはわずかだし、マネジメント系(たまねぎ)になろうとしても、なかなかなれるものではない。キャリアパスにおいてどちらが自分にとっての高いプライオリティか考えなくてはならない。肉かたまねぎか、僕はそれ以外にもジャガイモのような仕事を作るって方向もあると思い、そうなりたいと感じているが。
とにかく面白かったです。