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おっさんの日記

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」を読んだ

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
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知の消費を楽しむ本

 息子が16歳を迎えたときに、大学進学まであと2年しかないと気付いたそうだ、そこで著者が実家を出た後に社会に出たときに知っておけばよかったことをリストにしていったそうです。このリストを発展させてできたのがこの本。なので母から子への手紙。

 本の内容は、「自分の殻を破ろう」です。そのために著者は「自分に許可を与える」という言葉を使って、沢山の課題とその実例、社会での成功者達の実例を挙げていきます。よく成功者の経験はあまり参考にならないと言いますが、これだけ沢山の事例を述べられていると自分にも何かできるのではないかと感じてしまいます。


 一つ一つの文を短めに書くことにより読みやすい文体(訳というべきなのかな?)。読む時間を忘れさせるくらい身にしみてくる著者、その他の人達の経験談。読んでいて目から鱗が落ちるという感覚はこんな感じなのかなと。


 「あなた自身に許可をあたえる」「カネを稼ぐよりも、意義を見つける方がいい」これらは下でも自分もメモのため書いておきますが、著者の言葉、他の方の言葉などです。こういった本は、題名からもライフハック系で、要点が分かれば良いとばかりに斜め読みをしてしまいそうですが、本全体を通してこの何十人もの人からの言葉達を自分の中を通す作業がとても心地よいです。

 自分の母親に語ってもらえる感覚で読めました。ぜひとも要点だけを読んで吸収するのではなく、この本を読んで、文章を味わって「知るために消費する時間」を楽しんでいただきたいと思います。そして、自分にとってしっくり来る言葉を捜してみるのも面白いかもしれません。

本の中の課題集

 本の中に書いてあった課題を抜き出してみました。

手元の5ドルを2時間でできるだけ増やす

P10

 元手のお金として5ドル渡されます。これを水曜日の午後から日曜日の夕方までのいずれかの2時間でできるだけ増やします。お金に注目すると、問題を狭く捉えてしまう。いつも身近にあって意識しないものといった問題の掘り起こし、その解決でお金を稼ぐ。

 5ドルに着目してしまうと、ラスベガスでギャンブルとか、レモネード売りと言ったことが頭にあがるが、5ドルを忘れると、自分の頭でお金を稼ぐようになる。例えば、人気のレストランの列待ちをして、列待ちをしたくない人に順番を売るとか、自転車のタイヤの空気圧を無料で調べて、必要なら1ドルで空気を入れるとか

10個のクリップに価値を見出す

P14
 封筒にクリップを10個いれ、5日間のうちの4時間でできるだけ価値を見出す。

 例えば、クリップを新しい通貨に見立てて、できるだけクリップを集める。クリップをつなげた最長記録に挑戦など。クリップをポスターボードと交換し、「スタンフォードの学生売ります−−1人買えば、2人はオマケ」というひらめき。

ゴムバンドにできるだけ多くの価値を見出す

P29
 参加者にゴムバンドをわたし、制限時間の間にできるだけ多くの価値を生み出しなさい

 例えばリストバンドにして「実行バンド」先延ばしがちにしそうなことを実行するきっかけにする。実行できたらWebサイトで公開など。

 

シルク・ドゥ・ソレイユの例

 伝統的なサーカスのビデオを見せ、その特徴を挙げてもらう。「大きなテント」「動物達の曲芸」「安いチケット」「ピエロ」・・・それら上げた特徴の逆を言ってもらう「テントはない」「動物も出ない」・・・プラスして伝統的なサーカスのなかで残したいもの、変えたいものを選ぶ、そうすると、シルク・ドゥ・ソレイユ風になる。

 常識を疑うスキルを磨く

ワースト案とベスト案

 いくつかのチームに自分の仕事で関係のある問題を挙げてもらう。その問題に対し、ベスト案とワースト案を作ってもらう。できたベスト案はシュレッダーにかけ、ワースト案を他のチームに渡す。そうすると、自分達がワーストと思っていた案に、ベストなアイデアが隠されていることを知る。


 例えば電力会社の幹部は社内の省エネのアイデアとして、最悪の案「従業員一人ひとりに使用電力を割り当て、超えたら罰金」という案を作った。しかし、他の人の目には、プラスして、下回った場合は、買い取ることや、同僚に売ることもできるといったアイデアを付け加えて、最悪の案から最良の案を導き出した。

財布に見る改善

 2人一組にして、お互いの財布について質問してもらう。自分の財布のどこが好きか、嫌いか・・・何を入れているかなど。その話を聞いてお互いの財布をデザインしてもらう。試作品を作り、売る。たいてい一番の不満点はかいしょうされるなど。

 ズボンの後ろのポケットにも解決すべき問題があるという象徴

イデアについての考察

 次の文の空白を埋める

 アイデアは○○○○○に似ている。
 なぜなら、○○○○○だからである。
 したがって、○○○○○である。

 僕が好きだと思った事例を・・・

 アイデアは泡に似ている。なぜなら、簡単に弾けるからである。したがって、大切に扱わなければならない。

 アイデアはワッフルに似ている。なぜなら、できたてがいちばんだからである。したがって、たえず新しいアイデアを思いつくのが大事である。

交渉の課題

P170
 求職者と雇用主に分かれたチームが8項目について話し合い、お互いの合意点を見つける。

 雇用主と求職者では相反するゴールがあるようだが、実際にはいくつかは共通するものがあり、お互いにどうでも良い項目がある。こういったものを見つけることにより、交渉をうまく進めることができる。

パズルから見るWinWinの関係

P198

 グループを6チームに分ける。1000ピースのパズルを5枚見せる。ばらばらにして枕カバーに入れてかき回す。2,3個手元に置き、各チームに配る。通貨としてポーカーチップを渡す。制限時間内にできるだけパズルを完成させる。

 歯抜けのパズルを完成させるため、他のチームと競争するのか協力するのか、または両方かを決めなくてはならない。チーム同士が協力しなくてはこのパズルは完成しないというのがミソ。できるだけ損をしないで、自分達の利益を最大化する方法を考える。資源が限られた環境では、自分達だけではなくほかの人達もうまくいくことを目指したほうがはるかに生産的である例。
 

気になる言葉

 本を読んで、気になったフレーズなどを後々の自分のために書いておく。

P17

問題が大きければ大きいほど、チャンスも大きい、そして問題でないものを解決しても、誰もカネを払ってはくれない


P32 ポール・ヨック

特徴がはっきりしたニーズこそ、発明の素


P41 ガイ・カワサキ

カネを稼ぐよりも、意義を見つける方がいい


P83 デビッド・ロスコフ

並外れた業績を達成した人々の最大の味方は、ほかの人たちの怠慢である。


P96 レオナルド・ダ・ビンチ

最初に抵抗する方が、あとになってから抵抗するよりも楽


P104 著者の父

あれこれ言っても結果が変わることは滅多にない。だが、結論が出るのが早くなる。


P131 ランディー・コミサー

自分のキャリアは、フロントガラスではなくバックミラーで見ると辻褄が合っている


P143 クエン・ブオン

目標を決め、その目標に向けて懸命に努力すれば、運命は変えられる。


P147 カルロス・ビグノロ

どこかに出かけて、新しい人と出会わないなら、友達を作る機会と100万ドルを設ける機会を逃したということだ。


P164 著者の言葉

人との関わりはすべて尾、プールに落ちる水にたとえられます。
関わりが増えれば、水滴はたまり、プールの水深は深くなります。
ポジティブな関わりは透明な水滴であり、ネガティブな関わりは赤い水滴です。
二つは同じではありません。一滴の赤い水を薄めるには、透明な水滴が何倍も必要です。
そして、その数は人によって違います。


P167 著者の言葉

私は一言だけアドバイスをしました。「どんな決断をするにしろ、後々、納得できる決断をしてほしいと」

例外を認めるか、認めないか、そのジレンマに悩むある実行委員をしている学生へのアドバイス