arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

日本史リブレット、一揆の世界と法

 

一揆の世界と法 (日本史リブレット)

一揆の世界と法 (日本史リブレット)

 

 

最近このシリーズが読みやすくて面白く、はじめ3冊購入したのですがつい最近また2冊ほど購入してしまいました。それはまた後日。なぜに一揆?と言われると別にタイトル買いになぜ?と言われても困るのですが以前読んだこちらが大変面白かったので。

 

一揆の原理 (ちくま学芸文庫 コ 44-1)

一揆の原理 (ちくま学芸文庫 コ 44-1)

 

 

一揆のイメージと言うと生活に困窮した農民がコメ問屋を打ちこわしながら代官まで行進し打倒!と言うイメージだったけど、「一揆の原理」では実は一揆と言うのは、権力の打倒ではなく、どちらかと言うと年貢などの割合を交渉するなどの団体交渉的な側面が強いと言う事が書かれてあった。そのため農民一揆では武器は持たず農具を持っているし、幕府側も武器による弾圧というのは無いと。

 

この感覚は多分「菊と刀」で散々言及されていた「其の所を得」と言う感覚だと思う。江戸時代の明確な階級社会において、自分の階級での権利を守るという感覚だろうか。こう言う感覚では最近読んだ「近世村人のライフサイクル」でも紹介されていた。

 

最近どことなく日本の伝統とかそう言う言葉を聞くが、それであれば江戸時代の一揆のように日本人全体がもっと怒って良いのではないかと。江戸時代以前から続く伝統なんだから(笑)給与伸びない割には税金だけがゲフンゲフン・・・

 

本書でも同じように、一揆は反権力ではなく一定の目的を達成するための集団とし、一味神水を経て構成員の平等性(多数決)により神の意思と受け止め問題解決をはかる事としている。その中で、本書は一揆の構成員で守る「法」について書いている。

 

一揆はもともと鎌倉時代国人一揆など武士や僧侶が起こすものが戦国時代以降、農民が起こすというのが定着し(土一揆)武士は一揆という言葉を使わなくなったが、国人一揆土一揆の違いは明確な法を持つかどうか。その法が、一味神水して短期間に守る法から、地域がある程度紛争なく治められるよう領主間で恒久的に結ぶ法もあり、一揆の姿も様々なのである。

 

まぁ、守らないやつは即時成敗とか怖い事が書いてあったりするが、逃げてきた村人を匿ってはならないとかそう言った領主間でお互い不利益が出ないよう守るものも書いてあったりと中世の一揆が「一揆契状」という法でお上の支配を補完する治安維持を目的にしていたものもある。

 

それらは次第に先日読んだ「近世村人のライフサイクル」で読んだように村々の村掟に変わっていき武士による一揆は無くなっていく。と同時に江戸時代より一揆は法を持たない農民によるものとなり弾圧の対象となっていく。ここからが我々がよく知る一揆のイメージになっていくのだろう。面白かった

 

 

近世村人のライフサイクル (日本史リブレット)

近世村人のライフサイクル (日本史リブレット)