arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

「怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉 (サンガ新書)」を読んだ

怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉 (サンガ新書)

怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉 (サンガ新書)

本の内容とか

 「怒り」とは何だろうかと考えた場合、著者は生物に不可欠の要素であると説く。物質と生命の違いを確認する簡単な実験を通して物質と生物の違いは感覚があるか無いかの違いであり、その感覚を「苦」と言う。実は感覚であれば苦であるため、苦しいことのみならず楽しいことも苦だという。


 生物はその苦と言うメーターが一定に上がらないようにするだけの存在である。メーターの針が一定以上に上がると「苦は嫌」という反応があり、生物はこの苦から逃れようとあれこれ努力する。実はこの反応こそが怒りであると言う。


 もちろん感覚は24時間無くなるわけではなく、それゆえに怒りは24時間どんなときでも生まれる。怒らないことのためには一瞬だけ生まれる怒りも見据えるようにする。それが怒りを克服する第一歩となる。その怒りには基本的な怒りとその怒りの派生系である9つの怒りがある。

1.dosa ドーサ 基本的な怒り

 嫌な感じで気分が暗くなること苦のメーターが振れて自分の感情に気づいた状態

2.vera ヴェーラ 一般的な激怒状態

 妖怪人間のベラではない ドーサをほっておくとなる。

3.Upanaha ウパナーハ 怨み

 自分の感じたドーサ ほの暗い感情を繰り返し思い出してると育つ怒り。怒りが繁殖された状態。行動分析学の事前条件〜結果の繰り返しのように嫌な感情を頭の中で回す感じか? 怒っても繰り返し怒るなかれ 本 怒らないこと2

4.Makkha マッカ 軽視

 自分より能力ある人、自分の持っていない能力を認めずあら探しをするような感情。ケチつける行為。人に吐け口を求める怒り。あの人は歌は上手いが踊りが下手だなどの感情。

5.Palasa パラーサ 張り合い

 終わらない戦い 相手に対し際限なく怒り発散すること。のび太くんのお母さんが叱る時マシンガントークになるがアレ。勝っても相手がいなくなっても怒りが収まらない。

6.Issa イッサー 嫉妬

 他人と比べ感情の矛先が自分に向くこと。

7.Macchariya マッチャリア 物惜しみ ケチ

 自分のリソースで他人が楽しむのを嫌う 本当の豊かさは自分の物質的な物を含め他人と共有して出ると説く

8.Kukkuca クックッチャ 後悔

 これも怒りの一種 過去の出来事を繰り返し妄想する悪循環でひどく嫌な気持ちになること、自己破壊。過去の失敗にとどまって精神的に止まること。

9.Dubbaca ドゥッバチャ 反抗心

 人、物事からの学びを拒否すること。コミュニケーションの拒否、何を言ってもダメ状態で最悪の怒り。仏陀曰く、悟りから最も遠い人。

10.Byapada ビャーパーダ 激怒

 今まで説明した怒りが育ちすぎて自分、他人、何かを破壊したいと感じる感情。もう理由なんてどうでもいいから破壊したいくらいに異常に怒る気持ち。怒りによる精神の異常

      • -

 纏めると気分か気持ち悪いうちはドーサ、その気持ち悪い吐け口として自分や他人を責める妄想に駆られるうちはビャーパーダ以外の怒りの感情だが度を越すと実際に破壊したい気持ちビャーパーダになる。

 このうち、人と比較して感じる怒りが3つあり、感情の矛先が相手に向くのはマッカ。感情の矛先を自分に向けるのはイッサー、相手を際限なく叩くのはパラーサ。ドーサの感情からは相手と比べる行為で3つのどれかの怒りに育つ。「あいつイケメンだけど馬鹿だから・・・」はマッカ、「あいつイケメンだから許せない」はパラーサ「あいつイケメンなのにオレはなんでブサメンか?」はイッサーかな。

 こう見ると罪を憎んで人を憎まずと言うことだな。いや、罪を憎むのもダメかな、過ぎればパラーサになる。諸行無常が肝要ってことだな。その観察した怒りを理解した上で、怒りと戦うのではなく、(その戦うという感情自体が怒り)怒りを収める方法を紹介する。本書の最期では人生を完成させる方法を説く。

感想とか

 怒りに任せて行動することほど馬鹿なことは無い。怒らない事の方が良い。これは多かれ少なかれ誰でも感じることですが。なかなか実践できることでは無い。しかし今後多少なりとも実践する上で、怒りの種類は非常に参考になります。訳も分からないような自分にある怒りが何であるのか、何に対する怒りであるのかが分かれば、あとは怒りを納めるよう整理するだけです。(簡単にはいかないとは思いますが)また、話している相手がどんな怒りをもっているのかが分かれば、こちらも対応しようがあります。それよりも著者の口調はもっと聞きたい、もっと聞きたいと思わせるような流れがあり、読んでいて心地よかった。