arcanum_jp’s blog

おっさんの日記

女子高生の裏社会~「関係性の貧困」に生きる少女たち~を読んだ。アングラが普通になりつつある

 

女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち (光文社新書)
 

 

鈴木大介氏の「最貧困女子」が興味深い内容だったので興味本位で購入。あちらは親族、地縁、行政の縁が切れた上に精神障害などを持っている人たちが都会に逃げてきて裏社会に取り込まれていく様を書いていた。

 

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こちらの本ではそれにもまして、家庭事情に難があるけどまだ友達も家族もいる、難があるとは言えない普通の女子高生がお散歩女子高生というのを通じて裏社会に取り込まれていく様を描いている。

 

興味深いのはお散歩という行為を「バイト」と認識していること。さらに言うと友達が知っている場合もあるし、親が知っている場合すらある。彼女たちは地元ではバイトも見つからないけどここに来ればいつ来ても良いし、自由に働けると言っている。そして一人入ると友達も繋がってやり始める。

 

驚愕である。そんなに割りの良いバイトなのだろうか?街角に立ち、お散歩してくれる人を客引きし、運良く見つかったらお散歩してきて半分を店に入れるという。正直、時間の割に合わないのでは?あと変な人に引っかかるとかと思ってしまうし、著者も本の中で何度も普通のバイトした方が稼げるよ?と少女たちにいう。

 

なぜこんな*バイト*をし始めるのだろうか、著者が言うように本の副題にある関係性の貧困なのだろうと。最貧困女子ではなぜ取り込まれていくのか?について、全ての縁が切れて都会に来ている少女たちに仕事を与え、家を与え、何もない少女が都会に来ても生きていける仕組みを構築しているから。

 

対してこちらの本でも言及されているが、彼女たちが事務所という所では、仕事を与え、日々の悩みを聞き、成績が良ければ褒めて仕事に対する責任感を持たせ、勉強がわからなければ学業の支援さえもする。それでいていつ来てもよい、問題があれば別の系列店を紹介。という環境、居場所を与えている。

 

これ、完全に普通の会社の中でティーチングとか人材育成云々とか最近では心理的安全性とか言いながらやっている事そのものじゃないのか?

 

ただ、7章なんかを見るとその後のお散歩女子高生がどうなっていくか、というのは興味深い。先に書いた最貧困女子のようにキャバクラを始め、水商売、裏社会に取り込まれていく。

 

最後に著者は最貧困女子と同じように、こう言った社会に取り込まれて行かないようにセーフティネットが必要ではないか?という。 

 

本の内容はお散歩JKや裏オプ、JKリフレなどをしている女子高生31人へのアンケートとインタビューからのため、お散歩をしてない他の女子高生、お散歩やリフレを買わない男性の視点がなくどうしてもお散歩女子高生にインタビューした視点が中心でもう少し別の視点も突っ込んで欲しかったが興味本位で読んだ本としては面白かった。